シャドウランデジタルゲームログ

HBS版のシャドウランをスチームのキャンペーンで購入したところあまりにも楽しかったので少し紹介記事を載せていこうと思います。
で、よくコンピューターゲーム版のシャドウランの関係性の話も見かけますので軽くその辺も触れておきます。
一応発売の年代順に記載していきます。

と、その前にシャドウランの開発元であるFASA社のデジタルゲームに対する動きとその遺産についてまとめておきます。
こちらに関してはDesigners & Dragons: The 80sを参照しています。

FASAは1980年にジョーダン・ワイズマンが勧誘して友人のL・ロッス・バブコックの二人で成立させます。
さて後にバトルテックやシャドウランのデザイナーとして名を馳せるワイズマンですが大学でメカニカルデザインを学んでおり、この知識を生かしたゲーム設計をしていきます。
そう言う意味では日本語翻訳の際に理系で博士号を持つ江川氏が和訳したのは英断と言えるかもしれません。

当初スタートレックやトラベラーのシナリオを発売し、その後バトルテックやシャドウランなどの作品を次々に発売していきます。

そしてワイズマンは1987年に環境シュミレーションプロジェクトという会社を創業します。これは後にバーチャルワールドエンターテイメント(VWE)と名前を変えていきます。
この会社でワイズマンは軍の戦術シュミレーターを応用したゲームマシンの開発を行います。このゲームこそバトルテックセンターと呼ばれるものです。まるでバトルテックを操縦しているかのようなアーケード筐体を生み出したのです。イメージ的には漫画ブレイクエイジやガンダムのアーケードゲーム戦場の絆です。

このバトルテックセンター展開を皮切りにFASAは他のゲームメーカーにシャドウランやバトルテックのライセンス供給を行います。
1995年他社が販売したメックウォーリアー2の記録的なヒットを受けワイズマンはデニー・ソーレイに新たにFASAインタラクティブを成立させます。FASAはFASAインタラクティブに対して、その株式を受け取ることを条件に知財権を貸与します。続いてFASAインタラクティブはVWEと合併しバトルテックを含む全てのコンピューターゲームの権利を獲得します。
このライセンスによりFASAインタラクティブはメックウォーリアーを展開します。
ところが他社の製作したロボットゲームの競合も生まれ過去ほどの成功は生み出せませんでした。

1999年VWEとFASAインタラクティブはマイクロソフトに買収されFASAスタジオとなります。
これによりデジタル化されたFASA由来のゲームのライセンスはマイクロソフトが供給することになります。
これはFASA本体の業績の低迷(TCGとコンピューターゲームへのTRPGの競合)とマイクロソフトがXボックス発売に向けて話題性のあるソフトウェアコンテンツを求めた帰結でした。ワイズマンは1999年から2002年までクリエイティブディレクターとして開発に関与こそしますがあくまで決定権はマイクロソフトにありFASAインタラクティブにとって不本意な結果となります。
また、ゲームセンターに興味のないマイクロソフトはバトルテックセンターも売却します。

これらの必死の延命も功を征さず2001年FASAは倒産します。
FASA倒産時にシャドウランやバトルテックのライセンスはワイズマンが興した新会社ウイズキッズ社に売却されます。
2003年にウイズキッズはファンタジープロダクションに売却されます。
この後ファンタジープロダクションがトッポに買収されシャドウランやバトルテックのライセンスはトッポが保持しています。

2012年にワイズマンはHarebrainedSchemesを成立し、キックスターターで予算を集めShadowrun Returnsを製作します。

Shadowrun/1993年 SNES版/1994年 SFC版
SNESはアメリカでのスーファーファミコン(SFC)の名称。
製作はオーストラリアのゲームメーカー Beam Software で、販売はデータイースト。
クオータービュー形式のアクションRPGゲーム。
片っ端からアドベンチャーフラグをたたいていく形式のゲームでもある。
そげ部でプレイ動画が挙げられたこともあり記憶にある方もいるのではないでしょうか。

たまに、TRPG版シャドウランでも話題に上がるメイジ・デッカー・サムライのジェイクさんはこのゲームの主人公。
気が付いたら警察の死体安置所で目を覚ますという話を聞いたことはあるのはないでしょうか。

ちなみにジェイク・アームテージは後述のShadowrun Reterns やTRPG版のシャドウラン5版の導入用シナリオ『Splintered State』にも登場する。

シナリオ製作は当時のシャドウランデザイナーチームであるRobert N. Charrette が行っており、英語の小説『 Never Deal With A Dragon.(Secrets of Power Trilogy)>』や後述のGENESIS版シャドウランと緩やかにリンクしている。
恐らくAIの開発という物語の骨子があるのではなかろうかと。

背景世界は2050年のシアトル。

そげ部のプレイ動画
攻略情報
プレイレビュー

補足:『 Never Deal With A Dragon.(Secrets of Power Trilogy)
トリロジー3部作と呼ばれる小説の1巻。
著名なデッカーであるドジャーがレンラクにハッキングを仕掛けスーパーAIメガエラと恋に落ちる話。
つまり、直接レンラクシャットダウンにつながる話なわけです。
シャドウランリターンズにドジャーが出てくるのはこれが理由かな?

Shadowrun/1994年 GENESIS版
GENESISは北米向けにセガが販売していたメガドライブですね。
1994年に発売されたビュートップ型アクションゲーム。
製造はBlueSky Softwareです。

ストーリーはランの途中に謎の軍隊の襲撃で死亡した兄の復讐のためにシアトルを訪れたランナーが兄の死の真相を追っていくというもの。
その死にはサーリッシュシーのシンセラキ氏族が絡んでおり~みたいな感じらしい。

背景世界は2058年1月31日シアトルおよびサーリッシュシー。

英語ですがプレイ動画もありますね。

シャドウラン/1996年 メガCD版
日本で製作された完全日本語版のシャドウラン。
シナリオ製作は富士見版(2版)の日本語展開を行っていたグループSNEが執筆している。
シナリオ自体は富士見版のシャドウランリプレイシリーズの2巻の続編(3巻4巻は過去編なので)に当たる内容。
システムはアドベンチャーRPG。
ゲーム制作はぷよぷよを世に生み出した日本のゲーム会社コンパイル。

背景世界は2053年東京(日本オリジナル)です。

レビュー

動画

シャドウラン/2007年 XBOX
恐らくTRPG版シャドウランと最も遠い位置にあるシャドウラン。
前述のとおりFASAがTRPGのデジタル化を行うために成立したFASAインタラクティブはマイクロソフトに買収され、実質的にマイクロソフトが作成したシャドウラン。
開発はFASA Studio(マイクロソフト傘下のゲーム会社)
ゲームシステムはFPSでアーティファクトの隠されたジグラットを2陣営に分かれて奪い合うというもの。
一部名称がTRPGと同様だが設定は完全に別物。

ちなみにマイクロソフトがデジタルライセンスをすべて掌握しソフトの自社開発をしていたのは1999年から2012年まで。
これ以降はシャドウランを作成したジョーダン・ワイズマンにライセンスを供給しています。

FPSとしてはかなり画期的なシステムらしくコアなファンが一定数居るらしい。

Shadowrun Returns/2013年 Steam
HBSの製作したRPG。
ジェイク・アーミテージが出てくることからSFC版のリターンズであると思われる。
システムはターン制の完全なRPG。シナリオ毎に移動範囲が制限され、その範囲内でクリア条件を満たすと次のエリアに進むためアドベンチャーゲームであるとも言えるかもしれません。

HBS社はジョーダン・ワイズマンが興したコンピューターゲーム会社であり本作もワイズマンが製作総指揮を執っています。

舞台は204年のシアトル。
かつてのランナー仲間ジョンからビデオメールが届くところから物語は始まる。
ジョンは自分が死んだらPCにこのメールが届くように手配をしており、自分の死の真相を明らかにすれば10万ニュー円をPCに支払うと言う。
PCは金や友情のためにシアトルの影に身を投じるのであった。

みたいな内容。
ソフト付属シナリオが上記でタイトルがデッドマンズスイッチ。

有志訳ですが日本語化も可能です。

ただの酔っ払いの死亡事件かと思いながら調べていくと大きな陰謀に繋がっている流れは最高です。

で、このシナリオですがTRPG版のオリジナルデザイナーが絡んでいるだけありありオフィシャルキャラがてんこ盛りです。
レンラクシャットダウンに関係するハッカーであるドジャー、白面のイモータルエルフであるハーレクイン、ゼーダークルップのミスタージョンソンを名乗るハンス・ブラックハウスことロフビル、ティルタンジェルを支える企業テレストリアン工業を差配するテレストリアン一族などです。
ちなみにハーレクインは和訳の際に女言葉になってますが全く違和感はありません。何かそんなブームなんだろうとスルーできます。訳者の方がバットマンのハーレクインを意識したのかもしれませんね。

キャラクターメイクはスキル制でスキルレベルにより使用できる武器と成功率が変わるシステムです。このためにある程度戦闘技能に振り込まないと苦労します。

ちなみに各メタタイプ毎に顔のバリエーションがありますのでTRPGの顔絵としても使えます。

日本語でのプレイ動画以下のようなものがありました。

しりこりさんのプレイ動画完結済み。
日陰でシャドウランリターンズ実況プレイ


日本語化説明サイト

Shadowrun Dragonfall - Director's Cut/2013年 Steam
元々リターンズの追加シナリオパックとして発売された物をシステムをアップデートし独立版として発売したものです。
舞台はリターンズから変わって2054年ドイツ。
フラクタルステイツと呼ばれるネオアナーキストにより支配されている州が舞台となります。

PCはとあるランナーチームに加わった新人。
チームが、とあるマナーハウスの地下にある研究所を襲撃するところから物語は始まります。
この襲撃事件から繋がる物語を解き明かすためにランナーチームは様々なランをこなしていきます。
チームで様々なランを請け負うスタイルのためか一番シャドウランっぽくあります。

オフィシャルキャラとしてはハンス・ブラックハウス、ブラックロッジ、グレートドラゴンのフェイルシュビッテンなどです。
魔法屋に現れるエルフのアブサンがアイナ・デュプリーではないかと言われています。

個人的にはアズテクのドイツ支社に潜入するシナリオが大好きです。シナリオラストでいかにアズテクの頭がおかしいか体感できるはずです。
後はブラックロッジのテストを受けたときの仲間のハッカーが足がついた時にまず心配するのが飼い猫だったのがツボでした。

日本語化用データ説明サイト

メカクシさんのプレイ動画完結済み。


Shadowrun Chronicles: Boston Lockdown/2015年 Steam
こちらはCliffhanger Productionsが製作したシャドウランのオープンワールドRPGらしいです。
NPCの挙動などをすべてオンライン処理をしていましたが、このオンラインサーバーの閉鎖に伴いプレイができなくなっています。
オンラインでNPCとやり取りをしていたため操作性が悪く、あまり評判は良くありません。

タイトルを見るとわかる通り舞台は2076年のボストン。
CFDにまつわるイベントのフィナーレを飾るボストンの大混乱を遊ぶためのPCゲームとなります。
これを紹介したTRPG用のサプリも出ておりますが結局どうなったのかはゲームをしないとわからないようです。

ストーリー概要

製作会社のプレイ動画

Shadowrun: Hong Kong/2015年 Steam
成り立ちはドラゴンフォールとほぼ同じで舞台は香港です。

育ての親から助力を要請された主人公は香港を訪問します。
そこで事件に巻き込まれながら養父の足跡を追うと言うシナリオラインです。

この作品で香港で知己がいない主人公を助けるのは三合会の1つである黄蓮会の顔役です。
舞台は2056年の香港。
実は香港をキーとする要素で大きいのが五行公司とグレートドラゴン嵐です。
五行公司はダンケルザーンの遺産により躍進しビッグ10の一角を占めます。つまりゲームの時代にはあくまでも普通のメガコーポなのです。
また、嵐自体の登場はありませんが、この後三合会同士の争いが激化し黄蓮会は嵐率いる赤竜会に潰されます。
ちなみに警察機構もこの時代は香港警察機構ですが、これも将来的にはナイトエラントに置き換わります。
そんな歴史も知りながら遊ぶとシナリオの印象も変わるかもしれません。

ちなみに風水都市香港のイメージが強いのかTRPGだとこれどう処理するの?みたいなイメージ優先の演出が多い印象です。
ちなみにシナリオにホラーと思しき存在が出てきました。
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