例会のGMをやってきました。今回は完全に初心者の方が1名おられたため、それほど第六世界の固有名詞を入れず、ふんわりシアトルが舞台に。それでもかなり緊迫した展開になりましたが、理由はのちほど。 PC1:ウツロ(ヒューマン) 参加2回目の日本帝国出身の強度サイバーなお巡りさん。今回のセッションのメイン盾。サムライ来たこれで勝つる…のか? PC2:静(エルフ) いつものエルフサムライ。相変わらず足と反応速度は恐ろしく速い。 PC3:ジェームズ/自称ムサシコジロウ(ヒューマン) 日本かぶれのフェイス…のはず。高い交渉能力を誇るがその弁舌は周囲を振り回す。 PC4:ビル・スミス(ドワーフ) CanIさんのサイトのコンバット・デッカーを使用。極めて優秀なハッカーで、とりあえず機械事で困ったら彼の出番。 PC5:クロエ(ヒューマン) チーム唯一の覚醒者。優秀な幻影魔術師だがメインは精霊使い。 PC6:ウルフ(トロール) 色々できるトロールのバウンティハンター。困ったときには大抵何かしらの技能は齧っていたり。 ◆導入 ウツロの知り合いというピュアラップのギャングたちの顔役、スノウからチームへと依頼が入る。なんでも地元スーパーマーケットチェーンのマザーズ&アザーズ(以下M&A)が広域ギャング団からの襲撃を受けているというのだ。 確かに飯に困る奴らが店を襲う話はスラムではザラではあるが、それにしても仕事が雑らしい。持っていくものも適当、営業妨害や破壊が目的かといえばそうでもなく、ただし店舗のバックヤードにある業務用大型冷凍庫だけはかならず開けられ中のものがぶちまけられているらしい。 「何もでなくてもとりあえず1週間、雇われ護衛をしてくれればいいから」という話でピュアラップの「司教の骸亭(Bishop's Corpse)」に集合予定…のはずが、ジェームズのコムリンクにスノウからの連絡が。 美貌の若きエルフの顔役がめんどくさそうな声で言うには、「例のギャングたちがまた店を襲ってきている」。銃撃音をBGMにして伝えられたギャングどもの戦力は、6人組のオークのギャングがアサルトライフルとショットガンを担いでいるという話。 車で10分、追加のボーナスと弾代くらいは出すよというので車に分譲して到着したロードサイドのスーパーマーケットでは、客は逃げ去ったのか駐車場に他の客や車は見えず、悪趣味な塗装を施されたデカいトラックが横付けされている。無理やりハンマーかなにかで壊されたシャッターの中からは断続的な銃撃戦の音。 店舗の店員とおそらくスノウは中で籠城している模様だ。 店の正面まで車で乗り付け、ウルフと静はトラックの確認に入る。ウルフのライフルがトラックの後輪をバーストさせ、静は運転席の扉を開けようとするが… そりゃまぁギャングがアホでも鍵くらいはかけてるよね(苦笑) ギャング側も突っ込んできた明らかに筋者な連中に反撃する。トラックの運転席から飛び出してきたオークが、ショットガンに銃剣というゴテゴテカスタムの得物を手にして静を攻撃。 リーチの差からそこそこのヒット数を叩き出すが、静の全力防御により攻撃はスカる。 メイン盾として一番硬いウツロが壊されたシャッターから中を覗くと、明かりが落とされた暗がりの中でギャングらしきオーク4人がカウンター奥のおそらく店側と銃撃戦の最中。 背中からリーダーらしき大柄なオークを狙うがGMの出目に阻まれる。 直接戦闘力に欠けるジェームズは車で留守番、クロエは得意の精霊を召喚。フォース5の大気の精霊を呼び出すが…どうも私の卓では精霊には嫌われる運命にあるらしい(苦笑)召喚2ヒットと振るわず、エッジを使ってようやく1成功。その助力でリーダーらしきオークへと包み込みを指示する。 駐車場での戦いは、加勢に入ったウルフがギャングの運転手を棍棒で殴り倒して終了。ただ一人店内を覗き込んだウツロへは、ギャングからの猛烈な射撃が降り注ぐ。 それほど腕利きはいないものの、アサルトライフルのフルオートとショットガンの散弾を喰らい、エッジを削って何とか持ちこたえる。 精霊はギャングリーダーに包み込みを行い成功。これでもう大丈夫と思いきや、オークなギャングリーダーは複雑動作を使い脱出を試みる。DP16というさすが脳筋な出目に負けて(大気の精霊は筋力はそれほどではない)助力を使い果たし消え去る精霊。 一瞬膠着した戦場だが、攻撃を耐えきったウツロがギャングをウォーホークで撃ち倒し、それほどプロ意識の高くないギャングたちは降伏した。 ◆リサーチ ギャングたちはシアトル全域に勢力を広げる大規模ギャング、カッターズ…の末端構成員だった。彼らが「ボス」と呼ぶ人物から、M&Aの冷凍庫に入ったらしいとある冷凍輸送ケースを探すように指示されたのだ。 カッターズはロシアンマフィアのヴォリーフ・ザコーネと連携のある凶悪なギャング組織で、暴力を商売に使うようなかなり組織化された連中ではあるが、さすがに末端構成員レベルだと 「店のバックヤードを探せ」 の命令が 「強盗で奪え」 にしか聞こえなかったようだ。それほど防護が厳しくないスーパーマーケットではあったが、さすがに何度も襲っていればPCたちのようなプロも出張ってくる。 死にかけた身内を助ける程度の男気はあるリーダーは、仲間の手当と引き換えに「真っ黒い男」とボスの間のビジネスらしい、と情報を漏らした。 スノウがM&Aの店員ネットワークで調べさせたところ、まだ襲われていなかった店舗の冷凍肉のボックスからそれらしきケースが発掘される。 デッカーのビルがハードウェア技能とサイバーデッキによる直結で調査した結果は、 「この中には生体移植用の臓器が入っている」 というものだった。 ケースはウラジオストクに拠点を持つメガコーポのイーヴォで製造されたもので、ロシアから何らかの事情でここシアトルまで持ち込まれたらしい。 冷凍能力は生きていたことと、冷凍庫に紛れ込んでいたことで中の臓器らしきものは無事だったことが確認される。 そして内部に入っていた臓器とは… 「サスカッチの心臓」 だった。 サスカッチはメタヒューマンとしては扱われないが、ナーガやピクシーといった知性を持つメタサピエントとして人権を認められている。主に魔力を活かしたエンターテイナーのような職業で重宝される種族だ。 なんだこりゃ、と不思議な顔になる一行だが、ビルのマトリックス検索で「そういえば、近所の病院で有名(らしい)サスカッチの心臓移植をイーヴォ主導で行うとかでニュースになっていたっけ、と思いあたる。クロエのコネであるタリスモンガーも、腕利きの治癒魔術師のバイトの口があるという話で裏付けがされた。 だがウルフのコネの巡回警官は、「警備を厳しくする割にいっこうに実施されない手術計画」にうんざりとしているようだった。 何でもよく分からない理由ですぐ先に行われる手術が延期になっているらしい。 こりゃ心臓のすり替えか盗難、あるいは紛失でもあったのか?と疑うPCたちに、スノウが「心当たり」について調査を申し出る。 返事はその日の夕方。グールによる世界的な臓器密輸ネットワーク、タマナスの幹部が会いたいとスノウに申し出たという。 スレンダーマンと名乗る黒衣の男は、「とある事情で行方知れずになったサスカッチの心臓」を欲していた。 念の為チームのメンバー同士でアンケートをとり、3vs3の同数だったため、心臓を交渉の場に持ち込むことをダイス目較べの末決定する。 夜の22時。ピュアラップでは老舗に入るナイトクラブ、アンダーワールド93で会合は行われる。 現れたグールたちは、覆面にミラーシェイドゴーグル、分厚い手袋と特徴的な装束。やたらとゴツい護衛らしきもの4人と、ひときわ目を引く長身の黒衣の男。 スレンダーマンは簡単に挨拶を述べ、クラブの一角に仕切られた交渉の席へとPCたちを案内する。 彼の話によれば、イーヴォから特急で依頼された「移植用のサスカッチの心臓」はシベリアを支配するヤクートたちの領域から「調達」されたものらしい。 建前だけは立派な「覚醒者保護」のイーヴォはサスカッチの心臓移植における、肝心の心臓を調達できなかったのだ。 仕事が回されたタマナスは依頼通りにサスカッチの心臓をウラジオストクからカリフォルニア自由州へ、さらに陸路でピュアラップの密輸ルートへと送り込んだが、そこでヴォリーの手先として動いていた密輸業者がヘマをした。 密輸用コンテナと食料品輸送コンテナの取り違えにより、問題の心臓はスーパーマーケットの倉庫へと大量の食肉と一緒にコンテナごと運び込まれてしまったのだ。 会合で取り戻すことを約束したヴォリーと、その指示を受けたカッターズだが、結局は店側からタマナスへと直接心臓が届けられる状態となっている。 サスカッチの心臓につけられた市場価格は10万新円。フェイスとして交渉にあたったジェームズはその価格を理解しており、相場として適切な額は故買で捌いた3割価格の3万新円ということまでは理解する。 が、そこで悪魔の誘惑。 「これふっかけたら釣り上げられるんじゃね?」 3万と言えば素直に終わった話が、何と彼が提示した価格は10万新円。 うん、それ君たちがタマナスとして仕入れて捌いて納品すれば、確かに10万で手配して末端価格100万くらいは行くと思うよ。でもね…? GMの温情で振らせたエチケットでジェームズはほぼクリティカルの11成功。 あきらかに処刑縄にナイフが入ってる状況(差額7万新円、面子を潰されたタマナスが皆殺しを依頼するには充分な金額である)に気づいた彼はジャパニーズジョークとして要求を取り下げる。 お互いが懐の中のものに手をかける一触即発の状態だが、幸い敵味方全員がエチケット判定に成功。ナイトクラブでマフィアの幹部とシャドウランナーが殺し合う最悪の自体は回避された。 気を取り直した交渉として、スレンダーマンは4万新円を提示。ただしそれには条件がつけられる。 「この心臓を翌日の15時30分までに、ピュアラップの善きサマリア人の法病院までお前たちが届けろ」 というもの。 タマナスは既に依頼は果たしており、この状態はあくまでイーヴォ側へのアフターサービスである。ただし完全に面子が潰れたカッターズは依頼から手を引くことなく続行しており、心臓を強奪して「約束通りの」金額をタマナスからせしめることを目指している。 ただし病院はイーヴォの企業法に守られているため、持ち込んでさえしまえばカッターズも手は出せない。 短い時間で集まった情報は、警察(ここではナイトエラント)がやたらと警備を強化しており、病院へ向かう道路の一部では検問までされているというもの。またカッターズもランナーチームを探すために手下を増員している。 車にフェイクのケースを詰め込み、さらに精霊で隠蔽のパワーを使う。隠匿はパーミングの技能を持つウルフが請け負った。 出発は8時。運送業者に扮した静とジェームズは、護衛の他メンバーとともに目的地の病院へと出発した。 出勤の渋滞に軽く難儀しつつ警察の検問へ。 かなり厳しい検査として、SINチェック・荷物チェック・目的の詰問が行われる。SINチェックは警察の走査機の性能がそれほどでもないのか無事偽造がパス(ちなみにウルフはスー国のSIN持ちのためフリー)、荷物チェックはレーティング6の精霊による隠蔽パワーもあり見つからず。(さすがにサスカッチの移植用心臓を持ち歩くとかガチ違法であろう) 目的地については運送業者とその護衛ということで話は通った。 ここでPCたちには「物騒なかわりに警察が来ないルート」と「面倒な検問があるかわりに襲撃が少ないルート」の2つを提示したが、PCたちは後者を選び無事通過という塩梅。 病院の入り口が見えたところで、検問を強行突破したカッターズの車とバイクがPCたちに追いすがる。 違法改造されたギャングの集団だったが、警察の妨害もあって戦力はそれほどでもない。車とバイクはそれぞれ1台ずつがクロエが従えた精霊により脱落。(恐怖と包み込みのパワー) 残りのバイクはクロエの集団混乱で派手にデバフされ、残り1台となった車がビルのサイバーデッキのデータスパイクにより電脳を灼かれた時点で病院に逃げ込み終了となった。 病院へは既にタマナスから連絡が入っており「例のブツ」というだけで無言で配送完了。15時30分の約束の時間には依頼どおりの金額の振込が確認された。 その後話題の心臓移植手術は成功したらしい、とかカッターズの内部で内紛がありそれなりの権力変動があったとかの話はあるが、シャドウランナーたちにはあくまで噂程度の話であった。 …今回は6人卓でほぼ全ロールのPCが揃っていたのでGMとしては楽でした。ただし交渉でいきなり適正価格が分かってるはずなのに3倍ふっかけるジェームズには肝が冷えましたがw ひたすら銃撃戦の間、ターゲットダイスに愛されて車も本人も撃たれまくったウツロのプレイヤーさんはお疲れ様でした。シャドウランは初でTRPGもまだまだというお話のウルフのプレイヤーさんには楽しんで貰えたなら幸いです。さあ興味を持った方、売ってる間にルールブックを買おう!この手の舶来ゲームは「欲しいときには絶版で買えない」よ!(苦笑) 来月はVIPなお方が参戦する予定で、今回初心者向けでないとプロットからボツにした世界設定盛りまくりのシナリオにする予定です。お楽しみに。 |