シャドウラン北米ガイド

サイバーパンクにおいて国家は衰退し、企業が成り代わったとよく説明されます。
しかし、国家に存在理由が無くなった訳ではありません。メガコーポに利便性を供与し、メガコーポ外の人々の安全や法、教育などを提供するのです。
更にメガコーポは単独ではなく特定都市の利権を総取りすることは許されず調整機構としての国家は未だに必要です。
そんな衰亡しつつある第六世界の国家と無関係に繁栄を謳歌するスプロール、つまりセッションの舞台となりうる大都市について解説と解説されているサプリメントを簡単に纏めていきたいと思います。
ちなみにシャドウランではシティサプリメントは地域→国家→都市の三層構造で出版されることが多く都市によっては地域サプリメントしか無い場合があります。
下記もこの大分類に沿った形で展開したいと考えています。
なお、地域の説明は基本的に5thの基本ルールブックからの引用になります。
ちなみに出典は正確を記すように努力いたしますが、手持ちに無い資料はネット中心での確認となりますので誤りがあればご指摘いただけますと幸いです。
なお、4版時代に出た世界の国家と歴史紹介サプリSixth World Almanacにはだいたいの国家が掲載されています。


北米
シャドウランを語る上で外せないのが北米です。今のアメリカ・カナダ地域です。
そもそも、シャドウランはアメリカの会社が作ったゲームなので主要舞台は北米になります。
歴史的事件もほぼ北米で起きています。
もちろん、シャドウランの中心舞台であるシアトルも北米にあります。
そんな状況ですので北米の国家について語るのはシャドウラン前史を語るようなものになります。
が、ご容赦ください。
覚醒により魔力を最初に取り戻した北米のネイティブアメリカンが父祖の地を奪還した結果国家再編が起きたと言うのが簡単な説明となります。
これにより、アメリカ合衆国は領土の西側を失います。
更にこの弱腰に怒りを感じたアメリカ南部の州が合衆国からの離脱を宣言します。
この時ついでにカリフォルニアも独立します。
カナダでも元から独立志向のあったケベック州が独立します。
これにより北米は以下の国家群に分割されます。
アメリカ合衆国の北側とカナダの南側が合併して成立した、アメリカ合衆国の遺髪を受け継ぐカナダアメリカ合衆国。
独立したアメリカ合衆国の南部州により構成されるアメリカ連合。
カナダより独立を果たしたケベック共和国。
アメリカより独立を果たしたカリフォルニア自由州。
古き父祖の地を奪還したネイティブアメリカン国家群(NAN)。
当初はNANの1国家であるサーリッシュ評議会より武力により独立したエルフ国家ティルタンジェル。
これらの国家群のせめぎ合いとメガコーポの圧力により北米は動いていくことになります。

参考文献
Shadow of north America(3版)

国家
カナダアメリカ合衆国(UCAS)
アメリカ合衆国の遺髪を継ぐ最もアメリカ合衆国らしい国、それがUCASです。
10大メガコーポのうち2社の本拠地を国内に有し、その経済力、影響力は無視できません。
一方は古き強きアメリカを象徴するデトロイトのアレス。
もう一方は経済界の天才リチャード・ヴェイラーズ率いるボストンのネオネット(2078年、ネオネットはビッグ10ではなくなりますが)です。
そして、特筆すべきはランナー達の故郷、NAN内部に飛び地として保持されたエメラルドシティ、シアトルがあります。
基本的に国家体制や司法など含めて今のアメリカですのでアメリカ人には遊びやすいセッティングと思われます。
ちなみに、かつてグレートドラゴンダンケルザーンが大統領になったのはこの国です。

参考文献
Target:UCAS(2版)

都市
シアトル
ランナー達の故郷、麗しのエメラルドシティ、それがシアトルです。
シアトルはUCASの飛び地としてNANであるサーリッシュシー議会の中心にあります。
この特異的な立地に加え北米屈指の港湾都市であることから北米及び環太平洋圏の経済と謀略の中心地となっています。
このためにシアトルに拠点を置かない10大メガコーポは大失態を犯し撤退を余儀なくされたレンラクと社長のドラゴンたるロフヴィルの謎の意図に従うゼーダークルップのみです。
そして、光が強ければ影も深くなります。そう犯罪組織もこのような魅力的な市場を見逃しはしません。
才媛ロワナ・オマリー率いるマフィア、純血主義者である外隅半蔵率いるヤクザ、一癖も二癖もあるリーダーを持つチャイニーズマフィア三合会、“ターミネーター”の異名を持つヘビーサイバーハチェットマン、アレクサンダー・ヴィロツキー率いるロシアンマフィア、ヴォリーフザコーネ、と選り取り見取りです。
第六世界におけるシアトルは現在のシアトルに加えて周辺地区を加えてシアトル特別区とでも言う物になっています。
各地区は、旧シアトルであるダウンタウンは経済の中心地で様々なメガコーポが軒を連ねます。
ベルビュー地区は簡易アーコロジーの高級住宅街。
かつては工業地区、今はベッドタウンなタコマ。
UCAS陸軍のタスクフォースの基地があるフォートリービス。
かつてのクラッシュにより所有者情報の失われた街、エバレット地区
平和な田園地帯の影に潜む血なまぐさいヒューマニスが暗躍する街、スノホミッシュ地区。
安価に使いつぶされる工業生産の中心地オーバーン地区。
火山流と火山灰で痛めつけられた街、プヤラップ荒廃区。
昔からのシアトルのベッドタウンレントン地区。
かつてメルトダウンを起こした原発の影響によりグロウシティと異名を持つレドモンド荒廃区。
シアトルにはサイバーパンクに必要な舞台が全て揃った舞台と言えるでしょう。

参考文献
Seattle Source book(初版)
New Seattle(3版)
Runner Havens(4版)
Seattle2072(4版)
Storm front(4版)
ストリートの天使達(4版、日本語)
R&R101~102(4th、日本語)
シアトルデジタルツールボックス/Seatle Desital tool Box(5版)

ボストン
ネオネットの本拠地である都市ボストン。
ボストンは元々東海岸で代表的な経済都市でしたが2005年のニューヨークの震災によりニューヨーク証券取引所が移ってからはよりその傾向が強くなります。
更にネオネットの本拠地とマサチューセッツ工科魔法科大学も有し技術都市としての側面もあります。
また、クラブシーンで乱痴気騒ぎを行いながら、麻薬を扱うダモンと言う名のドラゴンも住んでいます。
そんな経済都市ボストンですが、2075年頃から感染が広がった謎のウイルスとその症状CFDの災禍により混乱の坩堝と化しています。
と、言うのもCFDはネオネットの開発していた何らかの研究が関係してるためらしいのですが。

参考文献
ロックダウン/Lockdown(5版)

シカゴ
UCAS、イリノイ州で第二の人口を誇った大都市でした。
2055年にアレスが世界友愛協会が昆虫精霊のカバー組織であると確認しシカゴに最大級の昆虫精霊の巣があると発見したことにより運命が変わります。
アレスは子会社のナイトエラントセキュリティーサービスの精鋭部隊ファイアウォッチを派遣しますが、掃討に失敗し昆虫精霊のシカゴ全市への潜伏を許してしまいます。
これに対応して2055年8月UCAS連邦政府はミシガン湖からプライネス河までというシカゴ全市を含む範囲を新型VITASの流行が確認されたとして隔離を宣言します。
この後も市内に残されたファイアウォッチ部隊は掃討を継続し、シカゴ市内最大の昆虫精霊の巣穴で戦術核弾頭を起爆し、昆虫精霊を休眠に追い込みます。
この時点で影の世界では世界友愛協会を隠れ蓑とした昆虫精霊の噂が囁かれ始めます。
この汚染地域(Contamination zone:CZ)の隔離は2058年まで壁とUCAS陸軍により隔離されました。
2058年にUCAS大統領により隔離は解除され、アレスは絶滅作戦(Operation Extermination)を実行します。
これはアストラル生物を死滅させるバクテリアであるFAB3を散布し昆虫精霊を死滅させるというもので副作用はあったものの昆虫精霊の全滅に成功します。
少なくともそのように考えられています。
しかし、この外部から遮断された3年間の間にシカゴを支配していたのはギャング勢力であり、対アストラル汚染、対昆虫精霊に尽力した魔術結社でした。
この結果解放後のシカゴも昆虫精霊による風評被害も加わり文字通りのコンクリートジャングルとなっているのです。

参考文献
The Neo-Anarchist's Guide to North America(2版)
Bug city(第二版)
Target:UCAS(2版)
Feral city(第四版)
R&R111~113(日本語、4版)

ディーシー
かつてのアメリカ合衆国の首都ワシントンDCの適用範囲を広げて造られた特別区たる首都。
かつて大統領就任パレード中に暗殺されたグレートドラゴンダンケルザーンが死んだ場所にできたウォーターゲート裂溝を調査するために政府は大量の資金を投入して覚醒者をかき集めていました。
しかし、2073年に起きた魔術結社ブラックロッジとIODNとの暗闘の結果裂溝は失われます。
これによりディーシーに満ちていた魔力は失われたようです。
それでも未だにUCASは研究資金を投入しており、様々な企業の研究所も軒を連ねています。
また、ワシントンDCを中心にフリーメイソンの都市設計により様々な魔術的象徴が組み込まれており、これが覚醒により実際の力を持ち始めています。
更に南北戦争の怨霊やローマカトリックの至宝が安置されているとの噂がある教会などパワースポットには事欠かないようです。
ディーシーはUCASの首都であり、高度に治安が維持された市街区となっています。

参考文献
The Neo-Anarchist's Guide to North America(2版)
Conspiracy theory(4版)

ニューヨーク
ウォール街を擁す昔も今も経済の中心地である都市です。
震災を受けて国連本部はスイスに移転しましたが、一時ボストンに移転していた東海岸証券取引所はニューヨーク証券取引所と名を変え再び帰ってきています。
震災で壊滅した経済の中心地であるマンハッタン島はメガコーポを中心に結成されたマンハッタンインクに売却されアーコロジーとして再建されました。
この支配企業は非公開ですが、ミツハマ、ネオネット、レンラクの3社が議席を確保していると信じられています。
ニューヨークの警察はローンスター、ウインターシステム、ナイトエラント、NYPD社が運営しています。

参考文献
The Neo-Anarchist's Guide to North America(2版)
Corporate Enclaves(4版)
The Rotten Apple: Manhattan(4th)
ロール&ロールvol40(日本語、4th)


アメリカ連合(CAS)
南部のアメリカ合衆国の州により結成された国家です。
正直アズトロンとUCASの間の障壁と言った印象が強くあまり目立ちません。
独立系では最大の警備会社であるローンスターが本社をおくテキサスを擁します。

参考文献
特になし

国家:ケベック共和国
僅差の住民投票によりカナダより独立を果たしたケベック共和国を語るにはかつて10大メガコーポの一角を占めていたクロス応用技術について語らなければならないでしょう。クラッシュ2.0が起きる日まで天才技術者ルシアン・クロスこそクロス応用技術であり、クロス応用技術こそケベック共和国でした。
ケベック共和国にはクロスと相対できる規模の企業は無くクロス応用技術による利益により国は支えられ、ルシアン・クロスの手腕により国家は運営されていました。
かつて、クロス応用技術は唯一アーコロジーを持たない10大メガコーポと呼ばれ、ケベック共和国の国境線はクロスの部隊が守護し、特に本拠地であるモントリオールには侵入すら許さない鉄壁の防衛網を誇っていました。
そうケベック共和国とはクロス応用技術の封土であったのです。
しかし、ルシアン・クロスはクラッシュ2.0の際に飛行機事故により突然の死を余儀なくされます。
この機に乗じて仕掛けられたアレスによる敵対的買収を中核を欠いたクロス応用技術は防ぎきることはできずルシアン・クロスの帝国は瓦解を余儀なくされました。
これによりケベック共和国は政治主体経済主体を失い混乱に見まわれます。
巨人ルシアン・クロスの跡を継げる存在は国内にはなく混乱の中必死の舵取りが行われています。

都市
モントリオール
ケベック共和国の運命が強くクロス応用技術と結びついていた以上、クロス応用技術の本社を有し、その恩恵に最も預かっていた都市モントリオールの影響をより強いものになっています。
様々な企業はモントリオールを見限り首都であるケベックシティへの集中を強めています。
そして、クロス応用技術の後釜に座ったのは国内企業ではなく10大メガコーポを中心として構成された企業コンソーシアムであり、国内の利権が海外への流出を開始しています。
この動きに対してネオアナーキストの動きは活発化しており国内の治安は悪くなる傾向にあるようです。
また、クロス応用技術の情報収集解析組織であるセラフィムの一部メンバーは未だにクロスに忠誠を誓っておりフォールンと名を変えながら企業コンソーシアムとアレスに打撃を与えクロス応用技術の復興のために暗躍しています。
ちなみにこの都市はメーカーの出しているシナリオ集のミッションの舞台として利用されており豊富にシナリオが提供されています。

参考文献
Montreal 2072(4版)

地域:ネイティブアメリカン国家(NAN)
覚醒により最初に魔力を取り戻し世に示したのはネイティブアメリカン達でした。
彼らはその圧倒的な魔法の力でアメリカ合衆国を圧倒し、かつての父祖の地の返還を成し遂げます。
この領地に関する取り決めが世に言うデンバー条約です。
これによりNANはプエブロ企業評議会が南西を、スー国が中央の平野部を、サーリッシュシー議会が大西洋側の北西を、北側にはツイムシアン保護区やアルゴンキンマニトウ評議会と言った形で国家が分立します。
デンバー条約調印までは偉大なる指導者であるシャーマン、ハウリングコヨーテにより強い結束を持ち戦線を維持しました。
ですが、勝利した後には一枚岩とはとても言えず内輪もめに終始します。
これにより指導者ハウリングコヨーテは愛想を尽かし姿をくらましてしまいます。
この結果現在のNANは有事にはそれなりに協調は行う仲の悪い兄弟と言った関係にあります。

参考文献
Naivete American nation volume1(2版)
Naivete American nation volume2(2版)
Shadow of north America(3版)
荒野の天使達(4版、日本語)

都市:“条約都市”デンバー
2018年4月25日に取り交わされた、アメリカ合衆国とネイティブアメリカン、カナダ、アズトロンによる国土の分割に伴う一連の条約をデンバー条約と呼びます。
この条約がデンバーにて調印されたことに起因します。
この条約の中にデンバーの分割に関する条項も含まれており、これによりデンバーはアメリカ合衆国(後のUCASとCAS)とアズトロン、プエプロ企業評議会、スー国、ユート国による分割統治が行われます。
行政主体は各国の代表からなるデンバー評議会が行っていました。
しかしながら、各国領としてデンバーは分割されていますので法律は各国に準じ、区域を移るにはパスポートが必要となります。
これにより各国政府やスマグラーが幸せに暮らしていましたが、2061年に政変が起きます。
ウォーターゲート裂構からグレートドラゴンゴーストウォーカーが帰還、突然デンバーを襲撃しアズトロンのテオカリを灰燼に帰します。
翌年にかけてゴーストウォーカーはデンバー評議会と交渉を行いデンバーの支配権を掌握します。
この際にデンバーの土地精霊であるゼブリンの口添えがあったのが大きな要因のようです。
これに唯一反対したアズトロンはデンバーより追放され、その利権はCASに移管されます。
また、ユート国はプエプロ企業評議会に吸収されたためデンバー内でも同様に吸収されます。
このためにデンバーは支配者たるゴーストウォーカーを筆頭にUCAS、CAS、ブエプロ企業評議会、スー国により分割統治されています。
この政権移譲劇には他のグレートドラゴンやメガコーポなどの様々な勢力が暗躍したと言われています。
その後、ゴーストウォーカーはホバークラフトを活用して暗躍した密輸屋達をゾーン軍として防衛軍に再編しました。
更にゴーストウォーカーはダンケルザーンより継承したドレイクや自由精霊達による特殊部隊を指揮下に置き鉄壁の都市防衛網を築き上げました。
ゴーストウォーカーもしくはゼブリンは精霊の人権を認めている節があり、精霊を非人道的に扱った場合には刑罰が下されることもあるようです。
現在この盤石に見えるゴーストウォーカー体制に挑む人物がいます。
彼は第四世界から生きていると言われるイモータルエルフの1人であるハーレクインです。

出展
Denver(2版)
Spy Game(4版)
R&R42(日本語、4th)

国家:サーリッシュシー議会
サーリッシュシー議会はNANの中でも特に部族社会としてうまく行っています。
各部族は代表を議会に出し合議制により国家は運営されています。
また気質的にメガコーポをあまり信用しておらず国内に拠点をおくメガコーポは少なくなっています。
特に近傍(と言うか国内に)に大経済都市シアトルを持つことから多くのメガコーポはシアトルに拠点を置いています。
また、現在のティルタンジェルを立ち上げたエルフは元々この国に所属していたシンセラキ部族であり、未だにティルタンジェルのエルフ達に裏切られたと考えている人物は国内に相当数いるようです。
また、元々隣国であるNANのツイムシアンとの間で停戦と開戦を繰り返しており最悪の関係でしたが、クラッシュ2.0によりツイムシアンからミツハマが撤退し経済が破綻した際にツイムシアンを保護領として管理下に組み込みます。
これによりNAN全体のきな臭さが増加しています。

参考文献
Sixth World Almanac(4版)

国家:スー国
スー国は広大な農地と荒野を持つ古き北米の姿を今に残す国家です。
その人口の多くは首都であるシャイアンに集中しています。
統治は各部族の族長の合議制により行われておりそれなりにうまく運営されています。
部族の中には技術を拒否し荒野での放牧生活をおこなっている部族も存在します。
しかし、多くの部族は古代からの伝統と最新の技術の間でうまくバランスを取って生活しています。
この国の国防軍は精強であり特に特殊部隊であるワイルドキャット部隊の威名は北米に轟いています。
最近では国防軍に元ナイトエラントの社長ソーリングオウルが顧問として就任したことから更にその錬度はあがっているといわれています。

参考文献
Shadows in Focus: Sioux Nation(5版)

シャイアン
スー国の首都。
人口300万人ほどのスプロールであり比較的シンレスが少ないのが特徴。
その理由として部族の伝統に強い誇りを持つ傾向があるスー国民にとってよそ者への排斥感が強いことがあげられます。
更にSINの管理が厳しくシャドウコミュニティの形成が難しいことが理由にあげられます。
これは部族に所属しているもの達にとっては相互扶助を含めて暮らしやすい都市であることを意味します。
スー国の運営を行う部族議会もこの都市に置かれています。

参考文献
Shadows in Focus: Cheyenne(4版)

国家:アサバスカン評議会/Athabascan council
アサバスカン評議会はアラスカや西カナダ辺りを領土とする国家です。その国土は1年の半分は雪に閉ざされており、経済はウランや鉄鉱石、石油などの天然資源に依存しています。

参考文献
なし

国家:アルゴンキンマニトゥ評議会/Algonkian-Manitou council
ハドソン川からハドソン湾にかけてのかつてのアメリカ合衆国とカナダの国境線近傍を領土とする国家。
そもそもはアルゴンキン語族を中心にまとまった氏族国家であったが後にエルフのシャーマン部族であるマニトゥ族が加わり現在の国家体制になる。
アルゴンキン族とマニトゥ族の確執に加え強い影響力を持つアズトロンの介入と内乱の絶えない国家となっている。

参考文献
Sixth World Almanac(4版)

国家:ユート国/Ute nation
ゴーストダンスの英雄、ダニエル・ハウリングコヨーテの出身の部族が中心となり成立した国家。
直接民主制の部族国家であったが、クラッシュ2.0の影響により経済が破綻し、ブエプロ企業評議会に吸収される。

参考文献
Sixth World Almanac(4版)

国家:ブエプロ企業評議会/Pueblo corporate council(PCC)
アメリカ南西部の大半と南カリフォルニアを領土とする企業的秩序に従う国家です。
国民はPCCの株主となります。このためにPCCの市民権を得るには能力を示す必要があり、なおかつ他国との二重国籍は認められません。
NAN成立時に元々この土地にあった技術企業を取り込み地盤としました。
現在のPCCはファンドとして機能しており、特にEビジネスや情報サービスに力を入れており着実な成長を遂げています。
また、強力な企業軍に加え、魔法研究及びアストラル警備の専門部隊であるパスファインダーやテクノマンサーを中心としたマトリックス研究兼警備組織のキバネットなどの強力な組織を擁しています。
また、情報系メガコーポでビッグ10の一角を占めるホライゾンも本拠地をPCCに持ちますが、ホライゾンとPCCの関係にはきな臭いものがあるようです。

参考文献
Sixth World Almanac(4版)

都市:ロサンゼルス
ロサンゼルスは光と闇の差が特に顕著な街です。
ロサンゼルスは2069年の震災により海岸部は壊滅的な被害を受け未だ復興ままならぬ状態である反面ハリウッドやディズニーランドを擁する内陸部は繁栄を極め芸能人やセレブ達のゴシップに満たされています。
更にこの街ではランナーですらメディアスターとなり得る可能性があります。
ランナーとしてのハンドルでブログを運用したり、サイバーアイの画像でランをリアルタイム中継したりと一風変わった風土があります。
これも企業系のランが中心であるこの街では、ランを仕掛けられた損害すら広告費用として見なされている証左かもしれません。
ですが、この街でもCFDは強い影響を及ぼしています。第六世界のハリウッドスターにとってナノテクやジーンテックは欠かせないアイテムとなっています。
ところがCFDはこれらを使用する対象に対して強い影響を及ぼすのです。
このためにただでさえ入れ替わりの激しいハリウッド俳優の入れ替わりが更に加速しているのです。
これとは別に魔法的な特徴もあります。
2069年の地震以降ロサンゼルスは地盤沈下を起こしています。
この原因を調査した際にロサンゼルスの地下に巨大な洞窟網が発見されました。
これは地下が洞窟に置き換わったアルケラと見なされており原因などが全く不明です。
現在壊滅した海岸部の復興にロサンゼルスを本拠地とするビッグ10であるホライゾンが力を入れています。
ブエプロ企業評議会はこれによりホライゾンがロサンゼルスの実効支配を目指しているのではないかと警戒を強めています。
ロサンゼルスはこれまで、アメリカ、カリフォルニアと所属国を次々に変えてきました。その過去の所属国にPCCが載ってもおかしくないと皆が考えているのです。

参考文献
ロール&ロールvol40(日本語、4th)
Corporate Enclaves(4版)
California free state(2nd)

国家:カリフォルニア自由州/California free state
この国は大国の思惑に振り回される小舟のような国家です。
そもそも、アメリカ合衆国カリフォルニア州が独立する原因となったのはデンバー条約にあります。
カリフォルニアはこのデンバー条約後のUCAS結成に不参加を表明します。
更にこれに続くCASにも不参加を表明します。
この交渉での独立は単なるブラフだったとも言われますが真相は不明です。
NAN及びCASにより国土の多くを失ったUCASはカリフォルニアから全ての国軍を引き上げます。

これを好機と見たアズトロンとティルタンジェルがカリフォルニアに侵攻を開始。
自力での防衛が不可能だと判断したカリフォルニアは日本帝国へと支援を依頼します。
日本帝国はカリフォルニア在住の日本人及び日本企業の権益を守るために即座に帝国海軍を派遣します。
結果的にティルタンジェル及びアズトロンは排除されましたが、サンフランシスコは日本帝国の信託統治下に置かれます。
この信託統治も日本帝国が震災により壊滅的打撃を受けた際に世界中に散っていた帝国軍を呼び戻した際に終わりを告げます。
しかし、当時のサンフランシスコ司令官であった斎藤将軍は命令を拒否し独立を宣言し斎藤軍政時代に突入します。
これも時の中で失脚し現在は実権はカリフォルニアの企業評議会であるサクラメントにより運営されています。(もちろん、形としての州政府はあります)
また、もう一つの名物であるシャスタ山のグレートドラゴンヘスタビー(美女!)についても簡単に記載しておきます。
2053年にティルタンジェルがカリフォルニア自由州のパワースポットであるシャスタダムの制圧に進軍しました。
その際に彼女は何処より現れティルタンジェルを鎧触一触薙払い、そのままシャスタ山を支配してしまいます。
その後紆余曲折はありますがダンケルザーンの後継者を自認し終始親メタヒューマンの立場を貫きました。
ですが、2070年代に行われたドラゴン同士の内輪もめに敗北し、シャスタ山の所領を失いいずこかに姿を消しました。
現在のカリフォルニア自由州でのホットな話題はあまりなく、国際タリスモンガー協会がIONDに吸収された影響でIONDの方針に従わないタリスモンガーとIONDがカリフォルニアを中心に対立していると言った程度でしょう。
ただ、5thでは簡易都市サプリであるフォーカスが出るので、また一波乱あるのかもしれません。

参考文献
California free state(2nd)
Threat2(3rd)
Shadows in Focus: City by Shadow: San Francisco Metroplex(5th)

国家:ティルタンジェル

第六世界の北米で悪の国家と言えばティルタンジェルとアズトロンがあります。
そんなティルタンジェルの解説を簡単にまとめておこうと思います。

ティルタンジェルは北米にあるエルフ中心の国家です。
領土は現在のオレゴン州+α(少し南に拡張されている)。
2035年、当時ポートランドの市長を務めていたエルフ、ルー・シェアハンドは所属していたサーリッシュシー議会より独立を宣言します。
シェアハンドはサーリッシュシー議会との国境線に展開された覚醒軍によってサーリッシュシー議会を完封します。
更にその余勢を駆ってティルタンジェルはカリフォルニア自由州に進軍を行い、CFS軍を一蹴します。
これにより実質的にポートランド、セイラム、エウゲンの3都市を支配したシェアハンドのティルタンジェル建国を拒否することはできずアズトロンとCFSを除いた北米の国家の承認を受けます。

シェアハンドは自らハイプリンセスと言う行政、立法の長であり、同時に軍隊、警察隊の最高指令官を兼ねる専制君主の地位に就きます。
そして、政争の初期から共に歩んできたエイスン・オークフォレストとショーン・ラヴァティ、盟友”書記”エーラーン、エルフ至上主義者のジェンナ・ニ=フェアラの4名をプリンスという立場に就け、この支配者の5人を中心にティルタンジェルの運営を始めます。
プリンスは合計で12名おり(一説によると13人)彼らがティルタンジェルの中枢となります。
現在でもヒューマンは全人口の3%であり、エルフが人口の80%近くを占めるエルフの王国です。

このメタヒューマンたちによる約束の地はハイプリンセスシェアハンドの手腕もありそれなりにうまく回っていました。
最初の問題は2035年ゼーダーックルップのCEOロフヴィルをプリンスに迎えた際におきます。
エルフ至上主義者であるフェイラと個人的にドラゴンを嫌うオークフォレストの強烈な反対にあったのです。
この際にはシェアハンドの手腕とエーラーンのとりなしにより事なきを得ます。

一見うまく運営されているように見えたティルタンジェルですが様々な無理が溜まり組織としていびつになっていきます。
これが決定的になるのが2057年にUCAS大統領ダンケルザーンの死によるものです。
これまで影からティルタンジェルを支援していた大物の死によりティルタンジェルの凋落は決定的になります。

続く、他国、他企業からの経済攻撃により疲弊していきます。

更に2062年7月ヘスタビーをプリンスにした時点でこの亀裂は決定化します。
初期のプリンスであるエーランと初期メンバーであるエーラーンとオークフォレストが離脱することになります。

中枢メンバーを失い、2064年のクラッシュ2.0の打撃、間断ない攻撃により疲弊したティルタンジェルを建て直す力はすでにシェアハンドには残されていませんでした。
ついにシェアハンドはハイプリンセスの地位から退きます。
その後暗殺やテロなどの様々な混乱を経て2070年に国民選挙が実施され、初めて民主的なプリンスとハイプリンスの選出が行われます。

これにより、これまでプリンスを勤めていたラリー・ジンカンがハイプリンスに就任し、新たに民主的なティルタンジェルの開始を宣言しています。

とはいえ、元プリンスたちやネオアナーキスト、ヒューマニスなど様々な勢力の思惑が渦巻く混沌とした国家であることに変わりはありません。

都市:ポートタウン
都市:セイラム
都市:ウルゲン
参考文献
Tir Tairngire(2版)
The Land of Promise(4th)
R&R117-118(4th)
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