第六世界は5版への版上げに伴い時代は2075年になりました。 もちろん、リアルタイムで時代が進行するシャドウランですから身体強化コアルール『Chrome fresh』がでた時点では2077年になっているわけです。 4thからは7年、20周年記念版からでも5年が経過しています。 4thでは歴史の講釈をした古参シャドウランナーが引退しており、5thでは歴史イベントに関する記載がルールブックにありません。 せっかくなので4から5に移行に合わせた形での覚え書きがてら歴史をまとめてみたいと思います。 1.レンラクシャットダウン 2059年から2061年にかけてUCASのシアトルにあるレンラクのアーコロジーが閉鎖されました。 いや、昔じゃんと言う突っ込みは受け付けません。 ここからの繋がりで見ていきたいのです。 これはアーコロジーの管理を行っていたAIゼウスの暴走によるものでした。 当時AIは3人しかいませんでした。この3人は電脳神とでも呼べる存在であり、第一世代AIと言われています。 1人はミラージュ。かつてのクラッシュを起こしたウイルスに対抗するためのプログラムから覚醒した最初のAI。 1人はメガエラ。元はモルガンと呼ばれたレンラクアーコロジーの管理AIがアーコロジーから脱出したAI。 またオタク(テクノマンサーの原型)を生み出したAI。 1人はゼウス。レンラクアーコロジーに残されたメガエラから作り出されたAIであり電脳神となることを望んだAI。 このアーコロジーの閉鎖自体は当時のレンラクのCEOと複数のランナーチーム達、メガエラ率いるオタク、そしてレンラクの精鋭セキュリティー部隊レッドサムライにより奪還されました。 この時にゼウスはアーコロジーに閉じこめられていた人々の頭脳に自らを分割してダウンロードすることによりアーコロジーからの脱出を図り見事に成功します。 この事件はここで終了したかに見えましたが、これこそが5thまで続くプロットの始まりなのです。 この年のクリスマスに同様の事件を防ぐ目的で企業法廷マトリックス局によりグリッド監視局、通称GODが成立されます。 2.クラッシュ2.0 2064年、10大メガコーポであるノヴァテク(現ネオネット)が上場を計画しました。 これに目を付けたゼウスはこの上場のためのマトリックスリソースを利用して自らのアップグレードを計画し、真の電脳神になろうとします。 これにいち早く気がついたメガエラは複数の企業や政府を巻き込み、もう1人のAIミラージュを説得します。 更に彼が指揮するオタクグループネットワークを支援します。 そして彼らはゼウスに総力戦を挑みました。その時ゼウスは巨大の水晶の樹木となっていました。 この水晶の樹木に絡みついたのは共振領域を汚染する巨大の蛇。 この巨大の蛇はラグナロク招来を目指すテロ組織ウインターミュートによるヨルムンガルドウイルスでした。 この汚染と2人のAIはゼウスと差し違え、引き込まれるように古いマトリックスは崩れ落ちました。 この時AI達の欠片はマトリックスに砕け散り、新たなるマトリックスに組み込まれていきました。 この結果、欠片が宿ったソフトはAIとなり、ASISTに宿った欠片がテクノマンサーとなりました。 また、クラッシュ2.0を防ぐことができなかったことについて壮絶な責任の擦り付けあいが行われた結果、単なる官僚組織であった企業法廷マトリックス局は責任を押し付けられることになりました。 これにより組織は刷新され、実働部隊であるGODも攻性の組織として生まれ変わります。 このクラッシュ2.0により結果的にワイヤレスマトリックスの普及が促進されることになります。 3.ワイヤレスマトリックス 元々ワイヤレスマトリックス構想はグレートドラゴンであるセレディ率いるトランシスニューロネットとASISTを開発したエリカにより進められていました。実際震災で壊滅し復興した日本帝国ではすでにワイヤレスマトリックスが実装されています。 2065年、ノヴァテクはトランシスニューロネットとエリカで合併し社名をネオネットに変更します。 そして、2070年までに世界中でのワイヤレスマトリックスが整います。 4.AIとテクノマンサーの一般化 2071年世界中でマトリックストラブルが頻発します。 香港やロンドンのシステムがダウンしたり、アズテクノロジーの軍事衛星が命令を拒否したり、ことここにいたり企業法廷はテクノマンサーやAIの存在を隠しきることはできなくなりました。 この辺りの詳しい経緯は朱鷺田氏のリプレイ『香港の天使達』並びに『帝都の天使達』で扱われています。 何はともあれ、後に第二世代AIと呼ばれるこのAIによりAIの存在は知れ渡り、様々な公民運動に繋がっていきます。 5..AIとCFD プロジェクトイマーゴと呼ばれるネオネットによるプロジェクトがあります。 これはセレディが主体となり腹心のグレートドラゴンケルベロスを実働とするAI研究プロジェクトです。 セレディは元々マトリックス中毒であり、グレートドラゴンが使用できるデータジャックの開発に命をかけていました。 そんな彼が電子存在であるAIやeゴーストに興味を持たない訳がなく、プロジェクトイマーゴは電子存在をオフラインサーバーに幽閉し破壊し再生プロセスを検証したりなど非人道的な実験が繰り広げられていたようです。 ランナーのファーストジャックがこのサーバーにハッキングをしかけダンプアウトした後に奇妙なことに気がつきました。 記憶に無い自身のマトリックスログ、自らの手で破壊されたセキュリティーエージェントなど。 何かに自分が浸食されていく恐怖に耐えながらファーストジャックはジャックポイントのシスオペを降りることを宣言します。 同様に様々な企業や組織で突然人が変わったようになって発生した多数の事件があり、全てナノウェアを導入した人物だと言うのです。 この事件は2076年ボストン、そうネオネット本社があるボストンで一気に野火のように広がります。そして周知になったこの症状はCFDと命名されます。 この不治の病は世界中を恐怖に陥れ、芸能界やスポーツ界などのナノウェアなしに回らない業界に大打撃を与えました。 一方シアトルのレドモンドのストリートドクであるブッチは、旧友であるファーストジャックを救うために研究を始めます。 結果、この症状の1部はゼノサピエントAIがナノウェアにより人間の脳をフォーマットして自らを相手の脳にダウンロードすることにより発生していると確認しました。 そして、特殊なナノウェアとテクノマンサーの能力、そしてマトリックス接続を用いれば治療が可能であることを発見しました。 これが福音となるのか新たなる悲劇の原因となるのかはまだ解りません。 このあたりが一連のAI関係プロットの流れで5thでの地域サプリは基本的にCFDと行政府はいかに向き合いどのように混乱しているかについて解説しています。 ちなみに、CFD感染者はヘッドケースと呼ばれているようです。 6.新マトリックスプロトコル 少し時を遡ります。 2074年12月、5th前夜。 ダニエル・デ・マルーロ女史は世界に対して高らかに宣言します。 企業法廷はネオネットとミツハマの協力を得てハッキングされない完璧なマトリックスプロトコルを完成させた、と。 これは事実に限りなく近く、従来の手段ではハッキングはできず、新たなるハッキングツール“デッキ”を使ってもホストの管理者権限を奪い取ることはできなくなりました。 同様に通常の電子機器も物理的な改造を施さなければ所有権の書き換えができなくなりました。(AIという例外はありますが) この新マトリックスプロトコルですが、管理領域であるファウンデーションと呼ばれる領域で正規の管理者にさえ危険があるという領域です。 AI研究を元に生まれた完璧なプロトコルと言うわけですが、CFDとの関連があるかについても興味深いところです。 余談ですが、マルーロ女史GODの関係者ではなく市井のセキュリティーコンサルタントらしいです。単なる公正な発表者として選ばれた可能性もありますが、後々よくジャックポイントで罵られているところを見ると新プロトコルの運用にも関与しているようです。 ネットでは正体はグレートドラゴンのシードラゴン説なども飛び出していました。 7.ドラゴンウォー 2073年頃から古代のアーティファクトの発見が相継ぎます。 いわゆる、有史以前の収束具が発見されたのです。 この背後にはドラゴン同士の抗争があり、ドラゴン達は敵対するドラゴンの巣穴の情報を意図的にリークしたのです。 この戦いは10大メガコーポを支配するグレートドラゴンであるロフヴィルとそれに敵対したアラメイズやヘスタビーとの間で熾烈な抗争が繰り広げられました。 アラメイズはロフヴィルの弟で太古の昔(アースドーン時代から)兄弟ゲンカを繰り広げています。 今回もその流れでドイツの大都市GiMiToに12人のドラゴンを引き連れて舞い降り住民を毎日300人ペースで喰らいました。 これはメタヒューマンに対する過剰な干渉を嫌うロフヴィルの意向に反し、ロフヴィルはランナーを中心として傭兵部隊を引き連れてGIMiToに進撃します。 そして16時間に渡る壮絶な市街戦の結果アラメイズはロフヴィルに討たれます。 一方シャスタ山に居を構えるヘスタビーがロフヴィルと争った理由は少し異なります。 彼女はドラゴンとメタヒューマンの融和を説いており、メタヒューマンを家畜としか見ていないロフヴィルに方針転換を迫ったのです。 しかし、彼女の努力は実を結ばす、ヘスタビーはドラゴン世界より追放を勧告されます。 唯一救いはアマゾニアを支援するために暴虐の限りを尽くしたグレートドラゴンシルルグが他のグレートドラゴンにより幽閉されたことでしょうか。 この内戦によりこれまで比較的身を潜めていたドラゴンが白日の目にさらされ反ドラゴン運動が活発化しています。 この影響もあり社長がドラゴンであるゼーダークルップや開発担当副社長がドラゴンであるネオネットがかなりの損害を出しています。 特にゼーダークルップは完全なる支配者たるロフヴィルがドラゴン問題にかかりきりになっており対応に工数が避けずネオネット以上に傷口が広がったようです。 また、竜冥と嵐の間での抗争も激化し、ヤクザと三合会との直接抗争に加えFBIなどの警察機構への情報リークが行われており、その波紋はまた残りそうです。 8.終わりに 他にもデンバーでのゴーストウォーカーとハーレクインの確執やリコール(だけじゃないけど)で大ピンチのアレス、色々とばれたシアトルのブラックヘイブン市長とか、アマゾニアとアズトロンの戦争の終戦処理とか色々あります。 ただ、都市限定のセッティングなので省略します。 いや、アレスは違いますが、書くとダミアン・ナイトのナノセコンド買収から書いた方が面白いので改めて書きます。 とりあえず、5thでは現状としてCFDが主題としてあります。 ご興味があれば原書を読むか新紀元社にリクエストを送ると良いそうです。 |