シャドウラン5thの変更点

シャドウラン5thedになって新紀元社から発売されている4thEDとどのように変化したかを解説いたします。
簡単に言えばルールが洗練され、より致死的になりました。

1.キャラメイク
2ndの優先度性にカルマでの成長に変更されました。
この結果一点投入型のキャラクター作成は難しくなりました。
また、割り振るリソースが限られているので比較的簡単に作れるようになった気がします。

2.戦闘
基本的な構成は4thから変更がありません。
ただし、細かい大きな変更はいくつかあります。

まず、イニシアティブパスと言う能力値がなくなりました。代わりに行動するとイニシアティブ値を-10して全員動いた後に再度イニシアティブ値が残っているキャラクターが動く形になりました。
これに伴い全力防御などの手番外の行動をするとイニシアティブ値が減ったり、他人のイニシアティブ値を減らす戦闘オプションが実装されたりしました。
あとは銃の反動が銃を撃ちやめるまで累積し続けるようになったぐらいでしょうか。

3.魔法
魔法も戦闘同様に細かく大きく変わりました。
まず、攻撃呪文を単純動作で行使するオプションが用意され威力が下がりました。
錬金術がアイテムに呪文を込めて時限式で使えるようになり、呪文行使とタメを張る主技能となりました。
儀式呪文は呪文を遠方に飛ばすだけでなく、全ての時間をかけて魔法を使う者が包括されました。
結界やホムンクルス、ウォッチャーもここです。

4.マトリックス


5thになってマトリックスは様変わりしました。
これを自分のための覚え書き作りの意味も込めてまとめてみます。

世界観的にグリッド管理局(ゴッド)と言う強力な組織が設定されました。(組織自体は4時代からありましたが)
彼らはマトリックス上での違法な行動の痕跡を集積し洗い出し洗い出した対象に強力なダメージとマトリックスから叩き出す権限が与えられています。
このためにいかに達人的なハッカーであっても長時間のハッキングは大変な危険を伴います。

次に対象までの距離や周辺環境によりノイズと呼ばれるペナルティーが与えられるようになりました。
4thのシグナルをよりゲーム的に処理できるようにしたとも言えます。
これにより、遠方からハッキングが難しくなりました。
これはデッキと無線接続しているとデッカーのいる環境のノイズも影響してきます。
これによりデッカーは再びワイヤードに戻る傾向にあります。
ここまでの対象への距離が影響するのはコムリンククラスの装置の話です。

大型サーバーなどのシステムはホストと呼ばれるクラウドシステムの親玉に統合された概念となりました。
このホストは物理的所在を持たないという特徴を持ちます。
これが何を意味するかと言いますとホストの物理的本体を盗み出すことができません。
更に言えば所有権の書き換えにはハードウェアの改造が(現状では)必須であるためホストの所有権を盗み出すことはできません。
ついでに言うと物理的所在が存在しないので距離によるノイズは発生しません。

具体的なハッキングの話に入る前にマトリックス全体を俯瞰した話をしましょう。
マトリックスは大きく分けてグリッドとホストと呼ばれる2つの領域を持ちます。
グリッドはいわゆる公開領域であり、マトリックスにおける公道です。
オンライン状態の装置は通常はこのグリッドと対応する物理的所在にアイコンを持ちます。
このグリッドは基本的に10大メガコーポに支配されており、その実行部隊かゴッドとその下部組織たるデミゴッドなのです。
グリッドは3種類に分けられています。こればグローバル、地域、公共です。
グローバルは10大メガコーポ直轄のグリッドであり、他のグリッドへ合法的にアクセスできます。
地域は10大メガコーポから特定エリアでのアクセス権を借りとり使用されます。これにより特定地域のグリッドにアクセスが制限されます。
現在日本だとグローバルがNTTで、携帯各社が回線を借りて商売しているのが地域です。携帯は手続きを踏まないと海外では使用できません。
公共グリッドは無料で使えるグリッドで制約が地域グリッドに加えて通信状況が悪くダイスペナルティーを受けます。
基本的にこの3種類のグリッドのどれかを使用することになります。
ちなみにグリッドから別のグリッドに対してアクセスするとペナルティーを受けるためハッカーは通常は対象グリッドに移って作業を行います。

グリッドが公道であれば、ホストはオフィスビルです。
ホスト内部は外部から観測できないため、ホスト内部への干渉を行うには内部に入る必須があります。
ちなみにホスト内部はゴッドの管轄外であるため、ゴッドの監視はホストのオーナーに引き継がれます。
監視値とでも言うべき数値もオーナーに引き継がれます。
通常のホストは現在のホームページ的な表層には簡単にアクセスできます。
もちろん、会員制サイトのように限られたものしかアクセスできないホストもあります。
このアクセス権限をマークと呼ばれる概念で統括しています。
マークは基本的に3個まで対象につけることができます。そして、マークの数に応じて行えるマトリックス行動が決定されます。
そして、オーナー権限はマーク4個として扱われるためハッキングによりオーナー権限を奪い取ることはできません。

そして、オーナーは他のアイコンにマークを付与する事ができます。
このためにフェイスハッカーによるソーシャルハッキングは意外と重要かもしれません。
なぜなら、ハッキングを行うと基本的にばれるため高セキュリティーシステムへのハッキングはかなり命がけになるためです。
あと、機器をマスターとスレイブの設定ができるのは4thと変わりありません。
ただ、扱いが少し変わりました。装置をスレイブ化することによりマトリックス攻撃を受けた際にマスターとスレイブのより高い方の能力値で抵抗できます。4thのスレイブ機器を直接ハッキングできないに比べてかなりの弱体化です。
更にスレイブにマークがついた場合にはマスターにもマークがついたものとして扱われます。このために闇雲にスレイブを増やすのはリスクを伴います。
また、スレイブ化していてもその機器に直結した場合、スレイブ機器の能力で抵抗することになります。
このため、足でスレイブ化された機器を探しハッキングしてホストに乗り込むという手順が必要になります。

最後にマトリックスを駆け抜けるハッカーについて説明しましょう。
ハッカーはデッカーとテクノマンサーを包括した概念となりました。
デッカーはサイバーデッキを使用する存在のことで、サイバーデッキとはコムリンクのセキュリティー用システムの制限を解除した機器となります。
サイバーデッキには4種類の能力値(アタック、スリーズ、処理速度、ファイヤーウォール)を持ちます。これに規定の数値をその時の目的に合わせて割り振ります。
これらの能力値はリミットとして機能します。そして、テストは技能+能力値の形に落ち着きました。
これに伴い、プログラムは能力値を増強するアイテムとなりました。

テクノマンサーは自分の能力値によってマトリックス能力値が決定されることに変化はありません。
テストにプログラムを使用しなくなったこともあり基本的にテクノマンサーはプログラムを使用できません。
複合体は呪文に近い形になりました。
これにより能力値の調整や多彩なプログラムで柔軟に目的遂行するデッカーと複合体やスプライトと言ったいかさまで押し切るのがテクノマンサーとなりました。
全体的にシステムは簡素化し運用しやすくなったと言えます。
4thのじっくりシステムの弱点を探すルールが好きだったのでなくなったのが少し残念です。
何にせよ、簡素化のおかげでハッカーから初心者お断りシールを剥がしても良さそうです。
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