[アースドーン] スロール王国大図書館館長、メロックスが記す 私のように戦場から離れている者はとかく英雄達の華麗な活躍にばかり想いを馳せ、戦場で散っていった将兵へは想い至らないものです。 これは時が経てば更に進むこととなるでしょう。 今回の戦争である第二次セラ戦争の勝利と勝ち得た独立が多数の犠牲により辛うじてもぎ取れたものであることを未来に残すために筆を執ります。 もちろん、ここに記載したものは私が立場上知りえた知識や大図書館へ収められた伝説を調べて書かれた物であり、私が体験したものではありません。 それでも何らかの意味があると信じています。 1.来襲 第二次セラ戦争の発端は考えるまでもなくセラのベヒモス艦トリンプスの襲来でしょう。 トリンプスはバーセイブ西部にあるアユディヤの生命の岩へと着陸し瞬く間に要塞となりました。 これによりスロール王国は東西から挟まれることになりました。 軍はセラ本国からの無限とも言える補給を受けた部隊がスカイポイントとトリンプスからスロール王国を挟撃し臣下の命を求めることを幻視していたようです。 そして、対策は一戦してトリンプスを打ち破り返す刀でスカイポイントを落とすという考えでした。 あまりにも無謀であり勇敢すぎる思考ですが、それ程までに当時は衝撃を受けていたと言えます。 今ではセラ側にはセラ側の事情があり、振れば物資や将兵が湧き出す魔法の杖が無いこともわかっていますがね。 この速戦派を押さえていたのが、時の国王ヴァルラス3世陛下でした。 今では陛下がどのような計画を立てていたのか知るすべはありませんが、お亡くなりになられなければ戦争の様相は変わっていたと信じています。 この時に未来へと繋げるために一番忙しく活動していたのは国内においては“名誉ある盗賊”J'ロールであり、在野にあってはオーバーランド交易のオマスでしょう。 オマスはまるでオブシディマンらしくない早さで奔走し、オーバーランド交易、オブシディマン、個人的な知り合いを有機的に結びつけ反セラネットワークであるライフロックリベリオンを瞬く間に組織しました。 このネットワークがあったからこそ今回の戦争においてバーセイブ連合は兵站を気にせずにセラと決戦を行えたと言えます。 本来であればJロールとオマスの情報物流ネットワークを基盤としてバーセイブ連合の結成、そしてセラとの決戦と駒を進むめるべきでした。 ですが、この流れを破壊する悲劇が起きました。 そう、ヴァルラス3世陛下が警備厳重なスロール王国の内陣内で暗殺されたのです。更に恥ずべきことに犯人の逃亡を許してしまいました。我々はセラの仕業と考え在野のアデプトに犯人の捜査を依頼しました。この時内陣は疑心暗鬼の渦に陥り間違いなく陛下暗殺時にスロールにいなかったアデプトに依頼することしかできませんでした。 彼らは良く仕事をこなし犯人はセラではなくイオポスではないかと報告をあげ暗殺者の追跡行に向かいました。 その後犯人であるイオポスの魔法使いを彼らは見事に仕留めました。 ですが、我々は愚かにも彼らの情報を生かせず最も愚劣で暗殺犯であるイオポスの望む通りの行動を取ってしまいました。 そうです、スロール王国単独でのトリンプス攻略作戦を実行したのです。 これが後にプレジャー平原の戦いあるいは大敗と呼ばれる戦いです。 速戦派とニーデン王の怒り、そしてスパイの先導によりこの流れは止めることができず、誰もとめようとすらしませんでした。 少なくとも当時は怒りに駆られたスロール軍によりトリンプスが陥落すると信じていたのです。 仮にJ'ロールの示す情報全てがそれを否定していても。 スロール陸軍及び空軍による総力戦が実施されました。 後に状況を確認するとこの戦いは負けるべくして負けたと言えます。 まず空軍の質量共にセラが圧倒しており制空権を争うこともできない状況だったようです。 陸軍は量においでこそ勝っていたものの質では足元にも及びませんでした。 セラは全軍がアデプトであり、スロールは10人に1人程度です。低サークルのアデプトであっても非アデプトが渡り合うには3人は必要です。 そして,スロールにはセラの30倍の兵力を動員することはできませんでした。 唯一スロールの誇れる点である士気の高さもセラには対策が用意されていました。 そうイオポスに内通したスロールの貴族を捕らえ真相を暴露させたのです。 これによりかろうじて支えられていた戦線は崩壊しました。 忠実にして精兵揃いの雷神馬賊がスロールに雇われていなければこの一戦によりスロールは壊滅していたかもしれません。 敵将たるニカー・カリンチ将軍が執拗な追撃を行わなかったこともスロールには幸いしました。 武人としての誉れ高いニカー将軍に取ってイオポスからニーデン陛下の首を供されると言うのは誇りが許さなかったのかもしれません。 少なくとも、戦争の第一局面はスロールの一人負けと言える状態であったことは否定できません。 ※作者補記 アースドーン4thもでて第二次セラ戦争も公式に終わりましたのでまとめておいても良いかと思いまして駄文を垂れ流すことにしました。 本来第二次セラ戦争はキャンペーンプロットですのでプレイした人の数だけ第二次セラ戦争があるわけですが、ここはCan I流解釈と言うことでご容赦ください。 一応本文はメロックスが終戦後に大図書館の資料を駆使して書いた体裁にしています。 この為にドラゴンの暗躍はあまり触れられないのでそのあたりは補記で記していこうと思います。 ちなみにJロールが何をしていたかはよくわかりませんが、後の展開を見るとドラゴンの対セラネットワークであるドラゴンネットワークとスロールの諜報組織スロールの目を組織化して対セラ諜報破壊ネットワークを構築していたのではないかと思います。 ちなみに本文に少し出てきたニカー・カリンチ将軍はお気に入りの人物だったりします。 10サークルの騎兵でグリフィンに騎乗している羽トウスラングです。カリンチ氏族は軍人よりも商人を多く輩出している氏族でそんな傍流からセラの軍団長にのし上がった立身出世の人物です。 純軍事的に見るとセラは有能な将軍を更に送り込みバーセイブ攻略に本腰を入れたように見えます。 ただ実際には名実共に名将となったニカー将軍を政敵が失敗を期待してバーセイブに追い込んだと言うのが実情です。 ニカー将軍が成功すると確実に失脚するヴィヴェインのキプロス太守の努力も期待していたのでしょう。 そんなドロドロした状況ですがニカー将軍自体は勇敵に戦えることを純粋に喜んでいたと書かれています。 ザ汚職政治家であるキプロス太守に対する対比からでしょうがなかなかに魅惑的な人物ではないでしょうか。 ここからスロールは外交に、ドラゴン達は謀略に忙しく立ち動くことになります。 今しばらくお付き合い戴けますと幸いです。 |