キャセイの五王国

本テキストはアースドーン3版用の下記キャセイサプリを参考に記載しています。
Cathay: The Five Kingdoms Player's Guide
Cathay: The Five Kingdoms Gamemaster's Guide

鋼の地チイェット・ディ/Tiet Dei

グレートドラゴンガーディアンたるチイェットは英雄を求め黄金の冠を与える者です。彼はある時最高の剣を求めて競技会を行うことを決定します。その勝者には黄金の冠が与えられチイェット・ディの王となることができるのです。
数か月に渡り刀鍛冶がこの国をおとずれ、剣を買い集めました。彼らはそれに宝石や輝石で彩りルーンを刻み込みました。それらを丁寧に見分したチイェットの回答はいつも相手の頭に剣を突き立てる事でした。
ある日オークの飾り気の無い農民が訪れ、装飾もなく平凡な剣をドラゴンの前に置きました。チイェットは何かを問う前に丁寧にそれを調べました。「何故お前はこの剣を宝石や輝石で飾り立てぬ。何故その醜い剣を我が前に置くのだ。」
オークは射抜くようにドラゴンを見つめ答えました。「私の剣は強靭です。皆さんの剣は確かに見栄えの良いものです。ですが、私の剣はナマクラではありません。剣は殺す物であり、宝石は身につけるものです。」
チイェットは呵々大笑す。
「ついに見つけ出したり。」そう、彼は告げたのです。

歴史
五行戦争が起きたとき、チイェットは英雄を下層階級から見出すことで国家の強化を考えました。
この時白羽の矢が立ったのが、現王の祖父であるクイ・リーでした。
リーは元々農民であり、諸侯の中にはリーに従うことを拒否するものも多々ありました。
その諸侯の中の一人であったコン・ジンはクイ・リーに従うことを拒否し兵をあげます。
リーは自らを選んだチイェットに助言を求めますが、彼は打ち破れとしか答えません。
仕方なくリーは自らに従う諸侯に召集をかけ3万の兵力を集めます。
半面ジンは5万の兵力を集め決戦を挑みます。
しかし、リーはその兵力の騎馬隊による側面攻撃を成功させ、ジンの首をあげます。
結果的にジン軍は壊乱し、リーが勝利をおさめます。

このプベイの戦いにより名目的にも実質的にもチイェット・ディを掌握しリー王朝が開かれます。
現国王はクイ・リーの孫のチャン・リーです。

特徴
チイェット・ディはキャセイの中央に位置し交易の中継地点として栄えています。
また、資源の乏しいキャセイにおいて例外的に豊富な金属資源を持ち、戦略物資として国家の一元管理化によりチイェット・ディの財源を潤しています。
ところが、この金属資源を密輸する君主が後を絶ちませんが、今の所大きな問題とはされておりません。
そのような密輸はあるものの、この豊富な財源によりキャセイ随一の軍事力を誇りますが、キャセイの中央と言う地理のため周辺を敵に囲まれ広大な国境線の保持にその軍事力を消費させられています。
また、国境線の防護の為に国境地帯では半独立君主である武王の独立性を認め野盗のように敵国に対する戦力として保持しています。
また、商業国家であることから商人は貴族に次ぐ地位にあり、かなりの権力を保持しています。
しかし、商人の権力が増大しすぎないようにするために都市内部での商売では屋台や店舗関係なく全ての販売品に対して厳しく課税されています。さらに抜け穴を見つけ出そうとする商人に対応をするため新たな税が次々に作られています。
このような環境ですが、商人たちは愚痴こそ言いこそすれ都市での商売を捨てるつもりはなく、王の管理下での平和を享受しています。
チイェット・ディにはキャセイで最も優秀とされる剣の踊り手の学院がいくつもりあり、それは全て王によって運営されています。卒業生は国軍への入隊が義務付けられています。
この学院への入学が許されるのは大変名誉なことなのです。

軍事
チイェット・ディは5王国随一の兵力を誇りますが、周辺国家との間に横たわる膨大な国境線の防衛にその兵力の大半を費やしています。
その総兵力はおおよそ10万人程度で、その半数が農民兵です。残り5万人のうち2/3程度が重歩兵や槍兵、弓兵となります。残りが騎兵であり戦車部隊となります。
近年は北方のシャンディからのの侵攻に対応するため主力部隊は北方に駐屯しています。
チイェット・ディとしては南東のフォルディを下しフェニックスソーンマウンテンを版図に組み入れることでインドリサとの交易の強化を望んでいます。
また、チイェット・ディの守護神として名高い総金属製の飛空戦アイアンクラウドはグレートドラゴンを模して造られており最後の防衛兵力としてしぃとのヘングナに係留されています。
チイェット・ディの軍旗は黒地に黄金の冠を描いたものです。

首都
チイェット・ディにはかつてのキャセイの首都がありますが、そこは独立都市となっており、チイェット・ディの首都はペングナとなります。
ペングナはペオニー川の両岸に建設された商業都市です。ペングナはペオニー川の上に橋で繋がっています。この橋の上は商店街として機能しており、ペオニー川で物資を運び、そのまま商店に運び込んでいます。これにより商業の振興に役立っていますが、密輸の温床になっています。
ペングナの外壁は20フィートの高さを持ち常に200以上の兵が常駐し、その大半は射手です。
ヘングナーの訪問者は真珠門へ入ることが求められ1ダースの兵士による入国審査が行われています。都市内に騎獣や動物を連れ込むには金貨1枚必要になります。

竜器:金皇冠
チイェット・ディに下賜された帝国の象徴は金皇冠となります。
これは火の王国の象徴である象皇剣と同様にタイジーが大地から見つけ出したオリハルコンを加工してコンが作り上げたものです。
これを身に着けることで交渉能力へのボーナスと金属からの攻撃による装甲無視が起きにくくなります。

著名人

大守護竜 チイェット
金属の君主、チイェットはドラゴンスパインマウンテンの山頂に鉄と銅でできた広大な宮殿を築き住んでいます。彼の鱗は鈍い灰色をしていますが、陽光のもとでは磨き上げた鎧のように輝きます。彼の望まぬ訪問者がその怒りから逃れる唯一の方法が黄金の冠です。チイェットは帝国の象徴の持ち主に請われた場合には助言を行うという古い伝統に縛られているのです。チイェットの宮殿には戦争が捕らわれています。それは、象牙でできた戦車や、古代の青銅器の武具、伝説の英雄の武勲話などです。
チイェットは戦争を好んでおり、しばしば訪問者にゴンジ(二人用の戦略ボードゲーム)を持ち掛けます。もし、このゲームでドラゴンを打ち破れば彼の財宝の中から好きなものを1つ譲り受けることができます。ですが、いまだにドラゴンは無敗を誇っています。
西方戦役においてはチイェット自身の開発した戦術や軍略、陣形、武技などを指導し、現在の帝国兵の戦略の基礎となりました。
チイェットはリー王朝が不機嫌であまりなつかないことを気に入っています。彼らを導き兄弟たる他の大守護竜を下すために参戦しています。チイェット自身はいまだに影から議会に影響力を行使しています。

チイェット・ディ王 チャン・リー
チャン王は7サークルの刀鍛冶であり冷酷で忠誠心や誠実さなどどこにも見当たらないような人物です。強力な独裁者であり彼の裁可なくして国家は動きません。しかし、彼の最優先事項は戦争に勝利することなのです。王は子飼いの貴族たちの負担を減らすために日々新たなる税を作り出し戦費を作り出しています。この政策は貴族たちに愛されていますが王自身が愛されたり敬意を払われたりすることにはなっていません。
王妃は数年前に王を狙った暗殺に巻き込まれ死亡しています。
彼は西方商人と繋がりを持つことで力を強め将来的に自身に反発している貴族たちを処断しようと考えています。

コン・ゾ・リー
チャンの息子である4サークルの剣の踊り手であり、チャンが最も信頼している将軍。コンは白蘭剣舞会でディシプリンを身に着け数多の戦場で活躍をしてきた人物です。
現在も北部戦場の総指揮官として駐屯しています。


チャンが最も信頼しているアドバイザーにして友人のオブシディマン。
彼の傍らでのみチャンは安らぐと言われています。

ザボウ・デン
ヘングナにある脱税指南グループのリーダーであるドワーフ。
厳格な法統治が行われているヘングナでの脱税は非常に危険が伴うもののそれでも活動を行っています。

キアオ・モデイ
ヒューマンの最も有名な強盗である盗賊のアデプト。
貴族や豪商のみを狙い、犯行現場には小さな水晶の薔薇を残していくことで有名。
チャン・リーが彼の首に賞金をかけているが今だ逮捕されていない。

ヒュオリオン・クア
エルフの盗賊であり、もともとモデイの師匠であった人物。
モデイはクアからすでに学ぶべきものはないと考え袂を別った。
現在互いにライバル視して活動しており、現在の対象はアイアンクラウドの艦長室にある財宝をどちらが奪うかというもの。

土の地 シャンディ
土の君主たるグレートドラゴン、シャンはジェイドペンダントを身に着けるに足る者を探していました。ティエットと同様に、シャンは自らが価値あると考える誠実さを持つものを求める試練を用意することにしました。シャンは水で満たした深い穴を掘り、そこに無数の竹筒を植えました。彼女はその上にジェイドペンダントを置き、左右に振り子運動をする土嚢を作り出し登ろうとすると弾き飛ばし水に叩き落とすようにしました。
「ジェイドペンダントを手に入れた者こそシャンディの、支配者となるが良い。」と、彼女は人々に語りました。それにより力自慢で素早い人々がこの地に集い挑戦をしました。しかし、一人を除き挑戦はするもののジェイドペンダントは手に入りません。
最後の男はドワーフで何日も彼よりも素早い者、大きい者、力強い者が失敗していくのを見ていました。そして、彼は最終的に前に出て挑戦を行いました。
周りで見ていた者はドワーフをあざ笑い、冷やかし、皮肉を飛ばしました。しかし、ドワーフは長い間穴の縁に立ち周囲を完全に無視しました。そして、彼は単純な呪文でジェイドペンダントを竹の上から穴に落とし、水に浮いたペンダントを拾い上げました。
群衆は固唾を飲んでシャンに目を向けました。このようなイカサマを働いたドワーフをドラゴンが許すとは考えられなかったのです。しかし、シャンは微笑み口を開きました。「私はどのようにして取るかの指示は確かにしておらなんだな。」

特徴
シャンディはキャセイ王国の北西に位置します。
この国は首都とそれ以外での間の苛烈な格差国家となっています。
シャンディ王は首都以外を見捨てることにより国の財力の全てを首都に集約させています。
このため首都以外の都市では重税が課され人々は日々の生活に喘いでおり自分たちを救い出してくれる英雄の到来を切望しています。
このような富の収奪は国家の貴族の力を奪い中央と繋がる商人の権力を増大させています。強力な商人は犯罪組織とも繋がり貴族を背後から操り自分たちの権力のさらなる増大を図っています。
また、シャンディは他の土地では敵対的な対応をするセラ帝国にも好意的な立場を保っており、インドリサの帝国軍を戦争の支援のために限定的に受け入れを行っています。
更に西方の未開拓地帯にも繋がりがあるため圧政を逃れ新天地を求める国民もいます。
また、北方のジャン川の交易はその地域のトウスラングによって掌握されています。

軍事
シャンディ軍は農民兵を中心に7万人程度の軍勢で、そのうち15,000人程度が職業軍人です。そのうち2,500人が騎兵であり戦車部隊となります。その多くは北方国境に駐留しておりガーからの侵略に対応しています。
また、70隻の飛空船を擁しています。
ですが、キャセイに対して存在感を増したいセラ帝国のインドリサ総督はシャンディに対してセラ帝国正規軍の雷鳴連隊の連隊まるごとの派遣を提案しています。しかし、現状はシャンディ側の考えとして限定的な派遣に留まっています。
また、シャンディは周辺国家を武王を傭兵として雇用し荒らすように指示しており、場合によっては武王を雷鳴連隊が指揮していることもあります。
軍旗は明茶地に翡翠の首飾りを描いたものです。

首都
シャンディの首都ムリはクオ湖の水晶の岸辺の北面に存在します。その外壁は輝くような白壁であり、磨き抜かれた大理石により造られています。その石畳の街路には翡翠像が並び、石灰岩の噴水などが立ち並びます。
都市内での課税率は十分に富を蓄積するに足る程度の額に調整をされています。これに付随して王は都市内での物乞いや盗賊に対して断固たる対処を取り都市内の清浄化を図っています。
ムリの外には無数の漁村があり、ここから供給される湖の幸によりムリのバザーには新鮮が魚介類が所狭しと並びます。これによる魚介特有の匂いを避けるためにムリの貴族たちは高価な強い香水を好みます。このため湖の魚介類は貴族たちは好まず、彼らはわざわざ海産物を取り寄せて食べることを好みます。
都市の南半分は湖に対して開かれ、訪問者はそこに係留されている王の船であるイエローパールに驚嘆することでしょう。

竜器:玉皇環
玉皇環は土地の精霊の流した涙である翡翠の欠片をタイジーが首飾りに加工して彼の妻に結婚祝いに渡したものです。
結合することによって、翡翠の首飾りは能力値単体テストに+1の修正を与えます。着用者は対象の呪文防御値に対して魅力テストを行い成功すれば1日の間悪い感情の影響を受けなくなります。また、他者の本来の社交防御値に対して魅力テストを行い成功すれば、対象は1日の間着用者に対して中立の態度を取ります。この社交防御値と呪文防御値へのテストを同時に行うことは可能ですが、効果は別々に適用します。着用者は地の元素に由来するダメージからの装甲無視ダメージに必要な成功段階が一段回上がります。これは地の武技、魔法、パワー全てに適用されます。これは地の王国の国王が保持しています。

著名人

大守護竜 シャン
賢明にして、穏健たるシャンは5大守護竜の中で最後に参戦をしました。しかし、自らの義務として能力の全てを行使して戦争の勝利を目指しています。長く優雅な彼女の肉体は輝くようなエメラルドグリーンの鱗に覆われています。彼女の住処は天界の頂と呼ばれる北部山域の丘陵地帯に連なる森林地帯に築かれています。彼女はグアン・ジュの父を好ましく思っていましたが、シャンはグアン・ジュを軽蔑しています。グアン・ジュは時と共に彼女への態度は作り物の阿諛追従ばかりになっているのです。シャンは無数の夜をわがままを得ることができないかと願いながら過ごしています。それはちっぽけな王が翡翠の首飾りを身に着けずに自身の前に立てば他の望まれぬ訪問者と同様に扱えるのにというものです。彼女は古い誓いに縛られており彼に何の行動も起こせないのですね。このため礼儀として最大限の礼儀正しさを守っていますが、シャンは長年に渡って新たなる王をシャンの・ディの玉座に着けようと暗躍しています。
多くの竜種と同様に、シャンは財宝を集めており彼女は美的なデザイン性のあるものを好みます。他者からすると何の価値もない絵画や彫刻、他の芸術作品を好みます。シャンは自らの住居の環境を魔法的に変容させ芸術作品を製作するのに最適な環境に改変しています。彼女はこの楽園を守らせるために少数の奴隷の軍隊を保持しています。彼らは元素魔法の訓練を受けており、ドルイド的な文化と信仰を持っています。
しばしば、シャンは巨大な洞窟に客を誘います。ここは地下深くに温泉が湧いており彼女はこれを好んでいるのです。この温泉の水は甘くゲストにしばしばふるまうのです。(ですが、彼女は決してグアン・ジュを招待することはありません。)
シャンにとって音楽とは情熱的なものです。特に木管楽器で構成された交響楽には顕著に表れます。(シャンが直接指揮をし、1000には届かないものの数百の交響楽は圧巻です)シャンはたまにキャセイの外にエージェントを送り出し国外の音楽の才能あふれる人物を莫大な報酬で引き抜き自身の楽団に加えています。それらの名付け手は自分たちには加護を得ており、これにより仲間とともに伝説に残る演奏ができると考えているのです。
しかし、竜種の多くは彼女が果てしない忍耐をしていると考えています。これによりゆっくりと怒りが蓄積しているシャンは必要から近々活動を起こすことになるでしょう。

シャン・ディ王 バイ・グアン・ジュ
ドワーフであり、42歳のグアンは3サークルの元素魔術師であり、ディシプリンの訓練にほとんど時間を費やしていません。
彼は10年前に父親である"賢明なる"バイ・ダン・マが暗殺者の凶刃に倒れた際に(彼が計画したものです)、臣下に父親は外遊中と告げ密かに即位をしました。そして、即座に父の忠臣たちを粛正し、自身に忠実な者をその地位に着けました。
それから10年間、彼は自分の王国を搾取し続けています。
今のところ妓楼を利用したスパイネットワークにより暗殺計画は事前に露見し防がれています。
グアンの子供はビン・ティアンとファ・ザの二人がいます。ですが、彼らは政治的にもアデプトとしても何の訓練を受けていません。ジュはまるで永遠に生きるかのように後継者について何の心配もしていません。

ポル・ケン
ヒューマン吟遊詩人。
市井で圧政に苦しむ民衆に腐敗した貴族や商人が旅の英雄により正される話などを中心に歌い、人々に政権の反発心を呼び起こしています。これにより彼の首には高額な賞金がかけられています。
この抵抗運動には解放者のディシプリンに従うアデプトも加わって活動を行っているようです。

マダム・ジオ
シャン・ディ全土で妓楼を経営している女性。中年のオーク女性でいつも高価な絹のドレスと宝石、強烈な香水を身に着けておりムリの妓楼を取りまわしている。
様々な階層に見合った妓楼を手広く経営しており人気が高い。
彼女はグアン・ジュに仕える秘密警察であり妓楼を利用して手に入れた情報をもとに反乱分子の監視を行っています。
時々王国全土の配下を見て回るために旅に出ることがあります。この際に彼女はジュの宮廷を訪れていると噂されています。

ティアオ提督
8サークルヒューマン航空士であり、バイ・ダン・マとバイ・グアン・ジュの二人の時代を通してシャン・ディの防衛を指揮してきた老将。
長年防衛指揮を執っており4王国やセラの侵略を阻止してきており、いずれセラが大規模な派兵を行うであろうと警戒をしている。
グアン・ジュもその子供たちにも何ら評価はしていないがバイ・ダン・マへの忠誠心と愛国心で国防を担っている。
いつも何かを心配したような顔をしている。

火の地 フォルディ
とある年老いた男が薄汚れた敷物で身を覆い汚物のような悪臭をさせながらヌーワの村に入ってきました。その男は激しく咳き込みながらおぼつかない足取りで歩いていました。村人はその肉体を見て恐れおののきました。
「疫病持ちだ!」と村人たちは叫び、村人は野良犬を村から追い出すかのように男を村から追い出しました。恐れと困惑から年老いた男は村人に水だけでも貰えないかと頼みましたが、村人は代わりに石を投げつけてきました。年老いた男は惨めに泣き叫びながら自らの身を護るために手を振り上げました。しかし、石は年老いた男の額に当たり男は倒れてしまいます。泥の中に倒れた身に石は降り注ぎます。彼は急所を守る為に身を縮こまらせすすり泣きます。
単なるヒューマンの農夫であるキー・ディー・メンはそこを通りかかり年老いた男を助けることにしました。彼は周囲の者をしかりつけ暴行をやめさせました。しかし、彼が年老いた男を助け起こしてやると、村人たちは彼が疫病に感染していると罵り始めました。ディー・メンは周囲の村人に嫌われることになりました。彼は村人にこの年老いた男を治療し家族が引き取りにくれば引き渡すと告げたのです。
彼は年老いた男が歩くのを助けながらその場を離れることにしました。村人は奴は頭がおかしいと罵るのです。彼の家族も年老いた男を恐れましたが、これこそが正しい行いであると彼は家族を説得しました。
彼らが村を離れると年老いた男は突然姿勢を正し、薄汚れた敷物の中から象牙の柄を持った輝くような剣を引き出しディー・メンに手渡しました。
「そなたの持つ仁に相応しい、この象皇剣を与えよう」ディー・メンがその剣に眩惑されるように手に取りると、年老いた男はその身を巨大な炎のような鱗持つドラゴンへと転じ・・・。

特徴
フォルディはキャセイの西南に位置する王国です。
西方でセラ帝国の属領であるインドリサと接しており、帝国の圧力こそあるものの活発な交易により国庫はうるおい住民への税は比較的軽いことで有名です。
しかし、セラとの交易ルートで最も効率的な交易路には黄金砂漠が横たわっています。黄金砂漠には交易路としてだけではなく、豊富な真の地素や鉱物資源も埋まっている宝の山です。しかし、ここは遊牧民であるクー族の支配領域であり長年の服属の行動にも関わらずいまだに効果的な対応ができていません。このためキャラバンはクー族の危険を甘受して砂漠を抜けるか、北方を大回りするか迫られることになります。
また、南方の武候の間で勢力拡大の動きや、身長が8フィートある筋骨隆々の男性だけの民族であるテュンユーの襲撃などがあり、領内統一に力を割く必要から五行戦争に総力を投入できていない状況です。
現状フォルティは当方のシュイディを制圧しエメラルド海へ繋げ海洋貿易を目指して動いています。
また、首都を含め領土内にある無数の湖の湖岸には無数の都市があり、都市間の交易や魚介類や真珠の採取などで生計を立てています。そして特に価値のある都市には国軍が警備についています。
しかし、五行戦争激化による難民の増大による都市部の物乞いの増加は食糧事情の悪化に繋がっており、小規模な反乱や群衆の暴徒化などは決して珍しくはありません。これにより経済状態の悪化に伴い治安も悪化しておりキャラバンは近距離でもしっかりとした護衛を雇う必要がありキャラバンの運用コストは増大しています。

軍事
陸軍は3万人の農民兵、3万人の騎兵と戦車兵、2万人の槍兵と弓兵で構成されます。その騎兵の多くは国境線の巡回を担っており、特に黄金砂漠との境界を重点的に警戒しています。
軍隊の多くは武候に奪われた南東領域の奪還に動いていますが、今のところ成功していません。
海軍は80隻の飛空船を擁し、主にインドリサとの国境線の警戒を行っています。
フォルディの軍旗は赤地に象皇剣を太陽に向けたものです。

竜器:象皇剣/The imperial ivory sword
これはタイタンの血の中で太陽によって鍛え上げられた蓮剣です。これは象牙によって造られたわけではありませんが、象牙のような美しい色合いをしています。
結合することで、象皇剣はダメージステップの基本が14となります。この時最大筋力による制限を受けることはありません。
着用者は火の元素に由来するダメージからの装甲無視ダメージに必要な成功段階が一段回上がります。これは火の武器、魔法、パワー全てに適用されます。これは火の王国の国王が保持しています。

首都
フォルディの首都はホンウでありブゾウ湖の北岸にあります。
木製のドックは広く湖上に拡張しており400m程度の範囲が湖上のドックとして広がっています。このドックを拠点に無数の漁師がブゾウ湖に漁に出ており、ホンウの食事を支えています。
ホンウの陸に面した3面には内壁と外壁の2種類の壁を持ちます。内壁は高いところで10m、低いところで6m程度の高さを持ちます。内壁と外壁の間はおおよそ90mほどの距離があり、そこに何かを建てることを禁じています。この壁は湖の中に20m程度入り込みで終わり両端に監視塔をもちます。
外壁に向けて質素な小屋が90m程並んでいます。これらの小屋は王国各地からの難民たちの家であり、国王はここに住むのに税を課さずに住まわせています。更に可能であれば食料の配給も行っています。
ホンウがキャセイ全土に誇るものとして魔法学院である蒼玉塔があります。これは五行戦争の開戦に伴い叡智の塔の使用を制限されたことに当時のフォルディ王が知識の喪失を警戒し、自身の宮殿より優先して建設した教育機関です。
今ではキャセイでも叡智の塔に次いで知識を集積しておりキャセイ中からその知識を求めて人が集まっています。塔の資料を閲覧する際に国籍は問われませんが1日金貨30枚の支払いを求められます。
蒼玉塔の外観は高さ45m、幅80m程度の木製の塔で5層構造になっています。各層はそれぞれの魔法使いのディシプリンに従うアデプトによって管理されています。
5つのディシプリンは元素魔術師、異界魔術師、理論魔術師、幻影魔術師、妖術師です。塔は各ディシプリンの代表者5人からなる合議制で運営されています。何か事件があった場合、彼らは直接王に報告を上げることができます。
現在の塔の司はルー・シャンです。彼らは元素魔術師の司であるオブシディマン男性です。
他の司は以下の通りです。

ヨング・ナ:異界魔術師の司、ヒューマン男性。
チャン・プ:理論魔術師の司、ヒューマン男性。
ナイ・イー:幻影魔術師の司、エルフ女性。
クイオリン:呪術師の司、トロール女性。

司はよほどの裏切りが発覚しない限り在位は死亡するまでの永任となります。
戦魔術師の多くはこの塔で訓練を受け、軍に所属したり塔の警備を担ったりします。

著名人

火の大守護竜 フォー
その巣穴はフォルディの北方フェニックスソーンマウンテンの奥深くの狭い渓谷の中にあります。彼の宮殿は花崗岩
に真の風の元素を編み込んで造られており、命ずれば雲の高さまで舞い上がることができます。必要があれば命じることに躊躇いはありませんが、この宮殿はその時間の大半を地上に縫い付けられた状態で過ごしています。
フォーは恐ろしく美しいドラゴンです。炎のように紅い、真紅の鱗と輝くような蒼の瞳を持ちます。自尊心の高いフォーは、彼が従える奴隷たちに毎日自分の鱗を磨かせています。この虚栄心を除くと、五大守護竜の中では唯一偉大なるコンチェや五行戦争の厳密な法治について沈黙を守らない人物です。フォーにとって伝統と名誉は自分自身の存在よりも重要なものであり、儀礼的とはいえ献身的な態度は他のドラゴンを怠惰に見せています。このためにフォーは自分自身への称賛を贈る名付け手に対しては伝統的に敬意を払うようにしています。逆に言えば、彼は礼儀からの逸脱に関して非常に厳格であるともいえます。
リー・メンが旅をできる年齢では無くなったために、王太子である息子のスンメンがグレートドラゴンへの相談があるときには主に旅をしています。フォーは適切な儀式を遵守することによって、数日間の時間こそ使うものの必ず必要な情報を提供してくれるのです。
フォーはキ王朝とそれを守り育てた一族の存在の名誉に敬意を払っています。彼はフォルディの現在の危機的状況について思いを巡らし、何か助力をできないかと考えています。しかし、彼は直接的な質問に答えることしかできないように誓約を課されており、自分自身のアイディアを提供することができないのです。介入が可能であれば、王国の問題をあっさり解決できるのです。ですが、その際に王国の支配権や挑戦した場合の危険性も考えざるを得ません。

フォーディ王 リーメン
現王であるリーメンは彼の父親であるキー・ディー・メンが老人を助け出したとき小さな子供でした。彼は父親を助けてともに国を支え、父が年老いて死んだ後王位を継承しました。
現在は96歳でキャセイで最高齢のヒューマンの1人です。彼は子宝に恵まれ一族は無数にいます。その一族の多くは軍隊に所属しているものが多いですが、中には冒険者として生きている者もいます。現在最年長の息子で王太子であるキー・スンメンは軍隊の高等指揮官である戦魔術師です。
リーメンは12サークルの呪術師であり、その生涯の時間の多くを呪文やタレントの使用に費やしてきました。しかし、年老いた彼はほとんど宮殿を離れることができず、まどろみの中で暮らしています。年とともに苦痛を嫌うようになっており、自身の体調不良に対して軽く見ているきらいがあります。
リーメンは戦争について強く信じていることがあります。それは正義に準じることを行うことによって、彼の子供や孫たちの世代には勝利をつかめるだろうということです。

風の地 フェンディ

フェンは自らの誓約に従い皇鳳衣を与える相手を探していました。最初は1人これを与えるのにふさわしい人物を見つければ良いと考えていました。しかし、王国全土を探してみ、相応しい英雄が見つかりません。仕方なくフェンは英雄を作り出すことにしました。彼は偉大で恐ろしい獣ゴギュッキが住むとして知られる深山幽谷に分け入ることを望んだのです。ゴギュッキは数千年前に強力な英雄により封印された存在として知られています。彼は怪物を解き放ち遠方から眺めることにしました。化け物により老若男女問わず貪り食われ国中に怨嗟の声が満ち溢れました。
伝説によればゴギュッキは炎と鋼に耐性があり、魔法と疫病を操ると言われていました。伝説ではゴギュッキはパッションのツォーによって創り出された動物であり、咎人かそうでないかを判別するためであると言われています。罪なき者は見逃され、罪深きものは恐るべき獣に貪り食われるのです。しかし、ゴギュッキは地に増え、その道筋にいるものが罪深いかどうかなど気にせずすべてを食べ始めました。不死の獣を殺すことができず、英雄たちは古の封印にそれらを追い込むことしかできませんでした。
元々は犠牲者を貪り食う前にゴギュッキは犠牲者に遺言を話させていました。最後の言葉が真実なのであれば慈悲深き速やかな死を与えていました。嘘をついた場合には長引く苦痛に満ちた死が与えられました。
多くの英雄がこの怪物に挑み貪り食われていきました。そしてある時1人の英雄がこの恐るべき騒動にけりをつけます。このストームチャイルドの男は何の武具も身に着けずにゴギュッキに相対しました。
ゴキュッキはストームチャイルドに吠え掛かります。「命短し者よ、さあ、遺言を告げるがよい! それが心からのものであれば、貴様の肉体を引き裂く前に慈悲深き死を与えよう。それが嘘であれば緩慢な苦痛に満ちた死を味わうことになるだろう!」しかし、ストームチャイルドは獣を前に静かに立ち尽くします。獣は重ねて吠えたける。「汝緩慢なる死が望みか!」
ゴキュッキは混乱の中動きを止める中、彼は声にならぬ怒りの吠え声を上げます。これによりストームチャイルドはゴキュッキを打ち破りました。ゴキュッキが苦痛に満ちた緩慢なる死を与えた場合、彼は真実を話していた場合、ゴキュッキは速やかな死を与えねばなりません。逆に速やかに死を与えたとしても彼が偽りを告げていた場合、緩慢なる死を与えねばなりません。
ストームチャイルドはそれ以上何も告げずゴキュッキと相対し続けます。最終的にゴキュッキは狂気にかられ元の住処に帰ってしまいました。
フェンはストームチャイルドの前に雲に乗って降り立ちます。
「汝の名は?」年若きものに尋ねます。
「私の名前はセンマ」とストームチャイルドはお辞儀をしながら答えます。
「よかろうセンマよ」フェンは答礼をし告げます。「皇鳳衣は汝の物よ。」

特徴
フェンディは5王国で最も裕福な国家です。
この富裕さを支えているのは他国に比べて都市国家が多く、それにより多い人口によるものです。
しかし、この富を絶え間なく続く戦乱の対応には用いられておらず、各地の農民は他国の軍隊や野盗からの襲撃や徴兵で息子が取られることに日々おびえながら暮らしています。
また、国王であるセンマと国内との貴族との間はうまくいっていません。その最大の原因はセンマがストームチャイルドであるため子をなすことができず、誰かに名を譲ることでしか後継者がうまれないためです。
最近センマがジポウの領主ノリ・カツに入れ込んでいる為、国外の者が王になるのではないかと貴族が恐れています。
地勢的な特徴として国を東西に分割するようにドラゴンスパイン山脈が横たわり、この東西の行き来を維持するために国軍の一部が常に活動しています。

軍事
フェンディはキャセイ第二位の兵力を誇り総兵力は9万人に達します。
1万5千人の徴兵された農民兵はセンマが長い時間をかけて訓練しており専業兵士と同様の練度を誇ります。2万5千人の騎兵と戦車兵、5万人の槍兵や弓兵という構成です。
兵力の多くはフェンディの西側半分に常駐し国境線の警備にあたっています。
海軍の軍艦は50隻、飛空船は85隻擁しています。
軍旗は白地に幻想的な羽を広げた鳳凰が書かれています。

竜器:皇鳳衣
これは風と雲で編み上げられたローブで、タイジーが再会させた二羽の鳳凰によって作られました。
結合することにより、皇鳳衣の着用者は通常の移動力と同じ速度で滑空が可能になります。更に回復テストに+6されます。着用者は冷気や風の元素による攻撃による装甲無効攻撃が必要な成功段階が一段回あがります。
これは風の国の王が保持しています。

首都
現在のフェンディの首都はゼンヤン半島にある沿岸都市ミンヤンです。そこは海面から100フィート程の岩山の上に建っています。
この為キャラバンは岩山を登り、船は海上に係留し荷物は陸路で荷揚げされます。
ミンヤンの地上側には高さ25フィートの外壁に囲まれています。その外壁には一定間隔で成人トロールの頭程の真珠が埋め込まれており、これを通してセンマオは宮殿の玉座から軍を指揮することができます。
また、ミンヤンには下水道が完備しております、汚水は海に流しています。ここからの侵入が防げるようによく防護されています。
最近センマは西方やジボーなどの外国人向けのバザーを新たに開くように命じています。

著名人
風の大守護竜 フェン
フェンの巣穴はフェンディの上空にある雲の上にあります。雲の島には強力な元素魔術による保持されている宮殿があり、ここに向かうには魔法や飛空船が必要になります。フェンの鱗は彼が住まう雲のように柔らかい白色で、氷のような青色の真珠の瞳をしています。かつてフェンは田畑を潤す慈雨を振らせていましたが、五行戦争が始まってからは耐えて久しく、現在はセンマに対する助言者の立場に役割を規定しています。彼は農民から厚い信仰を受けていた雨神としての立場を恋しく思っています。ですが今のキャセイの運命を決するための今の立場の重要性も理解しています。
この為フェンは神になると言う考えを捨てきることができません。彼の天空宮殿にはかなりの人数の名付け手がいます。名付け手達はフェンを信仰し、フェンは彼らを子供たちと呼びます。彼らは宮殿に蓄えられた大量の鉱石を加工する銀細工師職人です。ですが、誰もフェンが何故鉱石を手に入れているかは知りません。
フェンは自分の信望者達が自身の背後を付いてくることを許しています。多くのドラゴンにとってはそれは不敬行為であり最悪の怒りを買う行為となります。ですが、フェンはそれを気にせず楽しんですらいます。
センマは定期的に宮殿を訪れ、長年の間二人は友人関係にあります。ですが、ある日センマが求めた1つの助言をフェンは答えることができませんでした。フェンは自らを縛るルールについて語る事は誓約に反するため行うことができませんでした。この為、フェンは誰に皇鳳衣を引き継ぐべきかと言う問いに答えることができなかったのです。

フェンディ王 センマ
センマはストームチャイルドの男性で10サークル剣の舞手であり、5サークル理論魔術師です。
100年近くの間戦乱を生き抜いてきた彼は、余生を1人で何もせずに暮らし謎に満ちた人生を終わらせたいと考えています。このために彼は日々の多くをジポーで過ごし、ノリ・カツの無数の庭を見て過ごしています。
センマはジポーを自らに阿諛追従し後継者への指名を受けようとする貴族から逃れるために利用しています。しかし、彼はチンザンによって進められている陰謀について知りません。センマは彼らの貴族が王に相応しくないことを知っております、王国の未来に苛立ちを感じています。センマはノリ・カツを後継者に指名することができればと考えています。彼はセンマが見つけ出した誠実な男なのです。ですが、それがフェンディにとって何か意味するのか恐怖を感じています。

五爪の主 チンザン
ヒューマンの13サークル呪術師であるフェンディ随一に富裕な君主です。
チンザンは30代前半で黒髪を長く伸ばしひげをいつも綺麗に剃っています。
彼はファンジーと言う人物に従っており皇鳳衣を手に入れフェンディ王に地位を狙っています。それによりフェンディの総力を上げて他の4王国を滅ぼし皇帝の座をファンジーに献上しようと考えています。
チンザンはこの為に五爪と名乗る傭兵を擁しており、自身に敵対する他の君主を誅滅するために使用しています。
五爪は腕の良いアデプトであるだけではなく、闇の力を用いた不可思議な能力を持ちます。更に必要であれば脅迫、賄賂、誘拐など手段を選ばぬ冷酷な行動により周囲から恐れられています。
また、彼らは影響力はフェンディに留まらずキャセイ全土に張り巡らされたネットワークであると言われています。

シルイ
ヒューマン女性の8サークル盗賊
シルイはティエットディで弱小貴族の子女として生まれました。しかし、貪欲に富を求めた彼女は大貴族の富に嫉妬し盗みを働きます。
その盗みがばれドラゴンスバイン山脈の採掘所に送られて強制労働をすることになります。
採掘中の事故で落盤に巻き込まれた彼女はそこで地底に住むイェンヒジと出会います。そこでイェンヒジを率いていたファンジーにシルイは育てられました。
黒髪を短く切りそろえ、地下で長く暮らした彼女は背も低くオウトツの少ない体型をしています。この為のドワーフと名乗っても通るような体型です。

ベイロン
トロール男性の9サークル武人。
シャンディ出身の優秀な狩人でしたが、次第に満足できなくなり軍に入り名付け手を狩るようになりました。
シャンディ軍に所属している中残虐行為が問題視され始めた頃ファンジーに、見いだされ五爪に加わりました。

シャンポー
ヒューマン男性の11サークル剣の踊り手。
フェンディのチン家の奴隷の子として生まれました。
チンザンとは幼馴染であり、チンザンへの終生の忠誠を誓っています。
チンザンがテイェットダイに剣の踊り手の訓練を受けに行く時に護衛として付き従い共にディシプリンを修めました。
その中で自らを死んだこととし、チンザンと同じ顔の影武者となりました。
戦闘では2つの剣を用いて颶風のように戦います。

アオジン
エルフ女性の11サークル異界魔術師。
シュイディで生まれた彼女はある時道に遺棄された子供の死体を見つけ魅了されました。そして墓を荒らし、ある時謎の男から異界魔術を伝授されました。
肩の所で切り揃えた鴉の濡れ羽色の髪と青色瞳をしています。肌は触るとしっとりと暖かいです。そのメリハリの効いた肉体を肌にピッタリとした黒いローブで肉体を覆っています。
これにより男性を魅了することは容易いのですが、彼女が愛するのは死だけなのです。

ビーファン
オーク男性の6サークル射手。
村がクーに滅ぼされ、クーに対する復讐に生きてきた狩人。
ある時クーの逆襲にあい死にかけるがファンジーに救われ、クーへの復讐を行うためにシャドーに加わりました。
ビーファンは知りませんが、彼は一度死んで
蘇っています。これにより彼の記憶は徐々に失われていっています。
ビーファンのギャハドはクーが生きている限り常に発動しています。


水の地 シュイディ
高貴な紫の絹の服と輝く宝石を身に着けた一人の商人がありふれた村であるミトンに入ってきました。そして商人は村人に金を手渡し始めました。彼は金貨の詰まった財布をいくつも持っており、その中身を分けて農民たちに渡していきます。農民達は商人に群がり、パッションの加護があるように皆が祈りました。いや、ただ一人の人物を除いてです。ミンラオイェと言う名前のトウスラングの女性は群がり集まる農民から離れて一人立っていました。その顔には不服さが現れ、腕は腰の後ろに組んでいました。
翌週商人はミトンの村に再度訪れ渡した金の使いみちについて聞いて歩きました。農民達は口々に新しい農具を買った、家畜を買い足した、冬に備えて服を買った、家を補強するための石を買ったと伝えます。そして商人は再び金を渡し農民がむらがりました。今回もラオイェを除いてです。彼女は後ろに一歩引いていました。
翌週また商人は訪問し村人に金を何に使ったのか尋ねました。この時村人たちは自分達の贅沢品を買っていました。絹の服、豪華な襟巻き、香水、化粧品、豪華な食器、割高な宝石などの高価なものです。
この時商人がラオイェに金を渡そうとするとラオイェは金を突き返し叫んだ。「あんたは何かしたいんだ!あんたにはこれが村を潰す行為だとわからなおのかい!」
商人は衝撃を受けた。「私は村人を助けているのだ! どれぐらい簡単に人生を変えることができるかわからないのか!」
「簡単だって!?」ラオイェは怒り怒鳴りつけた。「あたし達が金を使うのがどれだけ簡単なのかわかってるのかい?確かにあたし達は可愛らしい物や可愛らしい服を手に入れたさ、だが何を食べるのさ?この村の人々は自分の義務を放棄して都市で時間を使ってきたんだ。」
商人はまるで理解できない子供がするようにただ微笑んでいる。
商人は納得できず頭を左右にふる。「金は重要なものだ。何故働かなければならないのだ。君が払えるなら代わりに払って上げれば良いじゃないか。」
ラオイェは吠える。「金は魂を堕落させ、精神を腐らせる毒だ。お前は村人に毒を与えているんだ。懸命に働き、ディシプリンを求めるのが、人生の唯一の道さ!」
商人は穏やかに頷いた。
「ラオイェ、君こそ貴族の心の持ち主だ。」彼は微笑み竜皇印を手渡した。

特徴
キャセイの南東の地を統べるシュイディは5王国で最も国民の少ない国家です。
シュイディの支配領域は北方にあるテイェットディとの国境線たる真珠川の南方に集中しています。
この真珠川はテイェットディに、対する防衛線であると同時にテイェットディとの交易路でもあります。
シュイディの南方の2/3は終わりなき驚異の密林と呼ばれる密林地帯です。ここにはキーマオやポナが部族単位で自立して暮らしています。シュイディとしては可能な限り有効的な関係を構築し人的資源及び天然資源の活用を望んでいますが、なかなか状況は改善していません。彼らの閉鎖的な文化が最大の要因となっています。
それでもなお、シュイディは密林から珍しい果物や動物の毛皮、染料になる樹皮、コーヒーなどを得ています。
また、シュイディは動員人口が少ないことから他国への侵略には消極的で防御姿勢を強めています。
国内の貴族の中にはこれに反発して攻勢を唱える勢力が一定数存在します。
シュイディを悩ます存在は密林だけではありません。青玉海の沿岸地帯を荒らす海賊達の存在も無視できません。沿岸地帯の交易商人により首都たるペリンの経済は維持されており、彼らを守護するのはシュイディの至上命題です。この為多数の海軍を海賊対策に投入しています。
また、東方の島ルクシー(台湾)と南方の島リアンジュ(海南島)の2つには大災厄の100年ほど前に人々が移住し自立していましたが五行戦争の海戦に伴い戦火に巻き込まれることを嫌いシュイディに従属しました。しかし、島内の都市の全員がこれに納得しているわけではありません。
シュイディは現在他の4国との戦闘よりも永遠の驚異の密林の開拓に注力しています。

軍事
シュイディの総兵力は7万5千人程度で、その主力は徴兵された農民兵です。そのうち精兵と呼べるのは3万5千人程度で、ここに槍兵、弓兵、騎馬兵、戦車部隊がいます。
また、常に東南のルクシー島に5千の弓兵を中心とした部隊を置いています。
シュイディの主力は150隻の海船と120隻の飛空船で、基本的に指揮官は首都たるペリン近郊にいます。
軍旗は明るい青地に竜皇印を描いたものです。

竜器:竜皇印
竜皇印はタイジーが土地の精霊を打ち破ることによって国民の安全を護る慈悲深き行動の結果として手に入れたものです。それは真の水素で造られた竜の形の印章です。
結合することにより、着用者は毒、呪文、病などへの抵抗テストに+6の修正を得ます。更に1日に1回食料や水を費やさずに回復テストを行えます。後水からのダメージで装甲無効おこしにくい。これの持ち主は溺れることがありません。
竜皇印は、水の土地の王が所持しています。

首都:ペリン
この都市はシュイディの沿岸の海面250フィートの位置に浮遊しています。これは巨大な岩盤に空素を混ぜ合わせ強大な魔法によって宙に浮いています。この魔法はザオイェが守護竜たるシュイから学んだものです。このため、この都市に入るには飛空船を使用するしかありません。この為都市の下に多数の船が停泊し飛空船により物資や人の移送が行われています。
この都市は海洋貿易に拠点として機能しており、常にシュイディ海軍が周囲を警護しています。
しかし、浮遊都市である為に都市内の食料を、賄うことができず致命的な弱点となっている。シュイディ王はこれを対処するために水や食料を生産する呪文の開発を行わせています。ある程度の成果は出ているものの住民すべての食料を賄うことはできず、喫緊の課題となっています。

人物

5大守護竜、シュイ
シュイの宮廷は珊瑚と真珠で造られています。その場所は蒼石海の深海で魔法の力でしか近づくことができず、ミン王家しかこれを知りません。
シュイは空を飛ぶようにしばしば蒼石海の深海を泳ぎ回ります。この際に彼女の深蒼色の鱗はサンゴ礁の上を泳ぐ際に身を隠すのに役立ちます。彼女は滅多に世界に姿を現さず深海の生活を楽しんでおり、それだけに五行戦争からも距離を取っています。
彼女は多数のトウスラングの奴隷を保持しており、海中でも呼吸できるように魔法により改造されています。彼らは海中に落ちて溺れたところをシュイにより助けられた船乗り達です。
シュイは戦争前には海の女神として信仰されていました。これははるか昔に彼女の行った1つの行動に端を発します。当時沿岸の村で岩山の上から100人の子供を生贄に捧げていることを知り彼女の怒りを買いました。村人達はパッションの顕現の儀式をしており、これをしなければ天罰として疫病が流行ると信じていたのです。シュイは波間に漂う無数の死体を見て事実を知り怒りから大津波を起こし村を飲み込ませました。周囲の村人達は啓示を受け、しゆの意図を誤解して、現した姿を信仰するようになったのです。これが残虐行為を防ぐために良い方法であると気づいた彼女は特に不満もなく信仰を受け入れ、未だにそれを実践することを許しています。
五行戦争が開戦してから、シュイが世界から距離を置いているために信仰は途絶えています。ドラゴンにとってシュイは破壊や死に対して繊細すぎると考えられています。彼女の兄弟たちが下位の名付け手が役に立つ手駒であり食いでがないと考えているのとは異なり、この下位種族に共感を感じており、自らを女神として庇護者であると感じています。

シュイディ王 ザオイェ
ミン・ザオイェの政治方針は長年変わっていません。攻撃よりも防御を考えており、周囲の助言者も戦争の勝利よりも国家の整備を優先していると考えています。しかし、この、考えは国民には隠されています。
現在35歳の彼女はすでに実績を上げています。より安全に素早く交易を行えるように交易路の整備を行い、各都市に防壁を増築しています。
ズンレンと言う夫を持っており、彼との間には14歳のむすめであるシゾがいます。
彼女の座乗艦たる飛空船ジェントルストームは普段はペリンに係留されています。この船は翡翠と木で造られた船で奥行き500フィート、幅200フィート、20門の火砲を備える空飛ぶ要塞です。

ウエイ・バオ
ドワーフ男性の、4サークル武人。
彼女は最低10隻の船を率いる最悪の海賊です。
彼はペリンを攻めるための飛空船を求めていますが未だに手に入れていません。しかし、最近フォルディが彼に近づき同盟を結ぼうとしています。もし、これが成立すればペリンはかつてない危機を迎えることになるでしょう。何故なら彼が切望している飛空船が供給はれる可能性があるからです。

ガーの地

歴史
ガーの一族の設立は古代キャセイ帝国の成立時にまで遡ります。ガーはエルフの一族でありキャセイ成立時に魔法や芸術、文化などを担っている一族でした。
古代の魔法学院や叡智の塔を設立し運営してきたのはガー達だったのです。
現在の叡智の塔近くの海岸にあったガーの本拠地であるスーシャはキャセイ全土から文化人が集まり様々な議論を交わす文化都市でした。
しかし、セラの到来により彼らの運命は狂います。セラと関わり生き延びるためにはセラへの降伏が必要と考えたガーは密かにセラを帝国に招き入れます。これによりセラ帝国はキャセイの首都に奇襲を仕掛けますが、グレードドラゴン嵐の尽力によりセラ帝国は撃退されます。
結果キャセイ内部でガーに対する怒りが噴出し虐殺に繋がりかねない状況でした。しかし、時の皇帝はこれまで帝国を支えてきたガーを殺すことを偲びなく思い、北方への追放刑とします。これによガーは帝国の要職から終われ帝国の北方に放逐されたのです。
そして大災厄が訪れます。キャセイの臣民と見なされないガーは5大守護竜の庇護下にありません。しかし、彼らは現在ガー山脈と呼ばれる山の中にあったドラゴンの巣穴、サクレッドワンに逃げ込むことで大災厄を生き延びます。
しかし、この長年のサバイバル生活はガーの文化を変容させてしまいます。
結果的に今ではガーは北方の地で独自の文化を形成して暮らしています。

生活
ガーは北方で百未満から数千人単位での遊牧生活を営んでいます。
住居はテントで造られ、食事では米は一般的ではなく羊肉や乳製品中心の生活を送っています。
ガーの文化の中で重要な部分として戦士があります。戦士は部族の中で唯一騎乗して移動されることが許されます。奴隷や女性は騎乗が許されないのです。
ガーの男性は13歳になると衣服と狩り用だかーのみを持って部族を離れます。彼らは自力で騎獣を確保しなければ部族に帰ることは許されません。
また、族長を意味するカンの助言者としてシャーマンがいます。このシャーマンの、受ける精霊の導きを受けながら彼らは生活しています。シャーマンには女性がなることももできます。

ガーの部族

七月の部族
この部族は8サークル戦騎乗りであるナラン・カンが率いています。1万人程度の、部族でその半数が戦士です。彼らはジェンディに度々襲いかかることで知られています。ナラン・カンには精強な5人の息子がいます。
部族はその大半をガーの地の西域で生活しています。冬は南方におり、夏になると北方に戻ります。

洛陽の部族
この部族は普段燕涙砂漠から来る商人と交易を行っています。指導者はテングリ・カンで5サークル戦騎乗りにして3サークル斥候です。娘のナルマンダは6サークル武人で騎乗戦闘でも格闘戦闘でも凄腕の恐るべき戦士であると言う評判を確立しています。
総数はおおよそ1万2千人でそのうち7千人が戦士です。
基本的にガーの地の南方を移動しジェンディやフェンディの国境を荒らしています。

金鳳の部族
この部族は最大で最も強力な部族です。指導者のシャハタイ・カンで8サークル戦騎乗りにして2サークル刀鍛冶です。シャハタイは10歳で部族を旅立ち11歳の時に騎獣としてポウを確保して帰還しました。
それ以来無数の部族を征服し奴隷としています。戦士には部族の戦士として加わるように勧誘しますが、その多くには断られています。それでも、部族は3万人を超え戦士は1万5千人以上います。
今25歳のシャハタイはガーを全て統合しキャセイの征服に乗り出したいと考えています。これにより小規模なガーの部族は生き残りのために身の振り方に悩んでいます。
シャハタイのシャーマンは6サークルのインクへと言う女性です。彼はわざわざ自分の故郷からこの老女を連れてきました。



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