エアシップレポート

作者注)これは、アースドーンワールドガイド バーセイブの飛空船の部分を要約したものです

アースドーンの世界の飛空船は大きく分けて2種類あります。一方はセラ帝国の建造する石造りの飛空船、もう片方はスロールの人達の建造する木造の飛空船。当然のように石造りの方が魔力や資源を余分に使用します。
 なぜなら、この世界の魔法には類似の法則というものがあります。つまり、似ているものには同様の力が働きやすいと言うものです。我々の世界で言う丑の刻参りなどと、概念的には同様でしょうね。まあ、なんにしろ、その為に、水上船に似た形状の方が空の上を浮かびやすいのです

セラ製飛空船
 セラの飛空船は一般的に石でできています。しかも、その多くは船の形すら取っていません。いうなれば、空飛ぶ要塞なのです。そして、船という名にも関わらず、蛇輪も帆も普通は持っていません。では、どうやって方向を指示するのか。それは、魔法によって地図の上に進路を描き、それに沿って船は移動するのです。では、どうやって動力を得ているのでしょうか。これは、船の最下層に詰め込んだ奴隷達の生命エネルギーを魔力に変換して動力としています。当然のように、ここに詰め込まれた奴隷が生き残ることはごく稀です。では、以下にセラの飛空船の3つのタイプを書いておきます

ベヒーモス船
 その寸法が数百ヤードもある、空飛ぶ要塞都市です。この船は基礎に円形か方形の中が空洞の土台を造りその上に20程の建造物を建てています。この船には数百人乗船することができ、セラは侵略戦争をしかけるときはこの船を飛ばし、即座に前線基地を建造します。かつて、セラとドラゴンが表舞台で争っていた時代には、セラはベーヒモス艦三隻を、あるドラゴンの巣穴に差し向け2隻を破壊されながらもそのドラゴンをほふっています。ただ、その後の他のドラゴンの報復により、その様な行為は以後なされませんでしたが……。しかし、代償も大きく土台には日も当たらぬ場所で奴隷達が惨めな生活を送っています。しかも、その奴隷達の負担は大きくは長期の航海をする場合には途中で奴隷を補給せねばなりません。しかし、スロール王国にとって幸いなことに大災厄以後、この船を目撃されてはいません。

キラ船
 この船は小さなベヒーモス船という感じのものです。もちろん、小さなと言っても武装した城塞一つ分程度の大きさはあります。ベヒーモス船が侵略地の本拠地であるならば、こちらは身の軽い前線基地と言うところです。この船も基本構造は同様で土台の中の奴隷の命を費やして飛びます。この船は頻繁に見かけることはありませんが、ヴィヴェアン(セラのバーセイブでの前線基地のある、都市)には、3隻のキラ船が常駐しています。

ヴァデット船
 この船は比海上船と似たような形をしています。一般的にこの船は戦闘時の切り込み部隊や、巨大船の護衛、兵員や物資の緊急輸送に使われます。また、軍事目的以外でもデスの海での火素採掘に使われます。なぜなら、この船の特徴である機敏で熱に対する高い耐久性がその仕事を容易にしているからです。恐らく、最も良く目にされるセラの船ではないでしょうか。


バーセイブの飛空船
 バーセイブの船の特徴は、主に木製である点です。この理由には二点あります。バーセイブでは大災厄からの復興とセラに対する防備を整えるために技術力の復旧に時間を割けませんでした。更に、世界帝国であるセラに比べ所詮はバーセイブ地方(だいたいヨーロッパぐらい)を納めているだけのスロールには資材や魔力を浪費して、石の船を造る余裕はありません。また、スロールでは奴隷制の全面禁止を歌っていることも関係しています。また、船の作成が公共事業ではなく市井の船商人が作っているために情報の共有が行われていないことも技術力の上昇を妨げている要因と言えるかもしれません。もう一つの木造船の特徴と言えば動力を基本的に風に頼っているところです。ですが、緊急時には命をマナに変えて動力にすることがあります。それでも、奴隷を使い潰すのではなく船員達が自分の生命力を使います。それに、これらの船は魔力の使用が少ないために命を失うことはまずありません。それでは、以下にスロールの代表的な3種類の船を紹介します

ガレオン船
横は150ヤードを越え幅は35ヤードを超えるという最大級の木造船です。これは海上を走る同名の船と同様に3.4本の帆柱を備えています。かつては、大兵力や火砲の輸送、交易など幅広い用途を持っていたそうです。しかし、残念なことにこの船の建造技術は失われています。もし、スロールがこの船の建造技術を取り戻せばセラに対しての航空戦で多少なりとも優位になれるでしょう。その為にスロール国王ヴァルラス3世は、かつてこの船が落ちたと言われている場所を捜索させ技術の復活を目指していると言われています。

ガレー船
この船はバ-セイブで最も良く建造されている船です。長さ100フィート、幅20フィ-トというのが平均的なサイズです。この船は最近建造されたものが多く、たいていは甲板が砲座として使えるように作られています

ドラッカー船
 この船は主に水晶族が使う軽量な船です。この船は長さが100フィートほどです。特徴的なのは補助動力として帆を使い、主動力は70人ほどの空族がオールを漕ぐことによって賄っています。しかし、この船は非常に軽量であるために風などの影響をもろに受け繰船は非常に難しくなっています。しかし、その代償としてその他の船と比べて驚くほどの機動性を持ちます。また、水晶族は基本的に火砲を積むことを好みません。彼らは相手の火砲を持ち前の機動性でかわして接敵して切り込むことを好むのです。

幽霊船
 バーセイブには、主を失いながらも空を飛び続ける幽霊船の伝説が幾つかあります。もちろん、その多くは何らかの事故で乗組員を失った飛空船であり、時が経てば船に編み込まれた風素が力を失い墜落します。ですが、実際には、長きに渡り跳び続けている船も存在します。まず、最も有名なものはアースドーン号です。この船は大災厄が終わった直後にスロール国王の命令により世界中の測量と異国との同盟を結ぶために天空を飛び回っていました。ですが、その度の途中で消息を絶ちいまだに発見はされていません。ですが、まれにではありますが、大空にアースドーン号を見る人がいます。そして、瞬きするほどの間に又姿を消してしまうのです。その他にも風素採掘船が風の元素界の生き物の怒りに触れ、乗組員が虐殺された後に見せしめとして永遠に空を彷徨わされているものもあります。また、空を舞うホラーの巣として使用されている飛空船の噂も囁かれることがあります