シアトルアップデート2079


シャドウランの主要舞台であるシアトル。
シャドウランの世界観概説でシアトルの簡単な解説もしていますが、そちらは2072年までの資料を下に書いています。
ところが、すでに第六世界は2079年になっており、この7年でシアトルでは様々な変化がありました。
そこで私自身の覚え書きの意味も含めてシアトルのアップデートをまとめておこうと思います。
詳細は別項(いつか書くかもしれない)に譲るとしてひとまず時系列に沿ってシアトルの変遷を追っていきたいと思います。

今回のシアトルの変化はシャドウラン4thのシアトルで何があり、結果どうなったかと言い換える事ができます。
このために4thのシアトルのキーマンであるシアトル市長、ケネス・ブラックヘイブンを中心に話を進めていきます。

このケネス・ブラックヘイブン氏ですが、どのような人物でしょうか。
彼が最初に歴史の表舞台に現れるのはUCASの大統領選挙です。“あの”故ダンケルザーン大統領と最後まで接戦を繰り広げたのは彼なのです。
ところが、選挙戦終盤に本物のケネス・ブラックヘイブンはオークであったため捨てられ、彼は養子として貰われたきたというスキャンダルがランナー達により暴露され、信用を失います。
ところが、ブラックヘイブンはそこから自分がヒューマニスであるとの宣言を行ったうえで未来を語り、ダンケルザーンと接戦を繰り広げますが、惜しくも敗れます。
その後しばらくは家業であるブラックヘイブン開発のCEO業に専念しますが、2071年のシアトル市長選挙に出馬し、見事に市長の座を勝ち得ます。
これこそがシャドウラン4thを通して展開される政治と金キャンペーン(勝手に命名)の幕開けとなるのです。

このブラックヘイブンの特徴は以下の3つとなります。
・シアトル市長である。
・シアトルの土地開発企業ブラックヘイブン開発のCEOである。
・北米のヒューマニスポリクラブの中核メンバーである。(実質的な指導者)

このあたりを念頭においてシアトルアップデートを進めていきたいと思います。

2070年
現職のシアトル市長の任期満了に伴う市長選挙が実施されます。
結果接戦を征したのはブラックヘイブンなわけですが、その影で様々な手が使われたようです。
ブラックヘイブンの政策はシンプルな重商主義で、企業に優しいメトロプレックスでした。
クラッシュ2.0以降景気が低迷していたシアトルにとって魅力的な政策だと言えます。

2071年
新型覚醒ドラッグテンポが世界的に蔓延しシアトルでもギャングなどの新興勢力が急速に成長し、これにまつわる抗争が激化する。
テンポ自体は事を重く見た企業法廷の命令によりアズテク軍が製造元の麻薬カルテルを壊滅させ災禍は鎮静化し始める。

2072年
ブラックヘイブンは昨年からのテンポ騒動に対応しきれなかったことを理由として警察業務の契約をローンスターからナイトエラントに切り替える。
その後、ナイトエラントと協調し新型覚醒ドラッグテンポにより激化したギャング同士の抗争の鎮圧に乗り出し、多数のギャングを壊滅させることでテンポにまつわる抗争を鎮めました。
ここで大打撃を受けた組織に韓国系ヤクザであるコムンゴ団があります。タマナスの下請けをするようなケチな犯罪グループでしたが、リーダーが韓国人以外の起用とテンポによる利益で急速な成長を遂げました。結果的にこれが仇となりナイトエラントに狙われリーダーを含め主要幹部が逮捕や殺害されることになりました。
これにより組織再編を余儀なくされたのです。

また、ブラックヘイブンの施策は効果を現し始めます。これはクラッシュ2.0により所有権の失われた地区の整備と税制優遇による企業誘致を中心に据えたものです。これはAAクラスなどにたいしてはさほど魅力的ではありませんが、Bランク企業には非常に魅力的であり成長が促進されます。しかし、これによりAAAとA、AとBの格差が狭まりあらたな軋轢を生んでいく原因ともなります。
この企業優遇政策には当然市長の企業、ブラックヘイブン開発も多大な恩恵を受けることになりました。なにせ土地開発企業ですから。

2073年~2074年
この2年はプロジェクトフリーダムと呼ばれるオークアンダーグラウンドの合法化を目指す活動とこれにより新たに作られる23号法案およびシアトル市長の選挙に関する混乱の2年となります。
この活動はメタヒューマン人権擁護団体であるメタヒューマンの母達(MOM)とオーク権利委員会(ORC)が中心となって活動し、これに地区判事ダナ・オークスやアンダーグラウンドのリーダーが加わり法案可決にまで進めたものになります。
これはヒューマニスである市長ブラックヘイブンの苛烈な反対にあうことになりました。
この動きの中でブラックヘイブンも様々な不適切な仕事が明るみに出てくることになります。
これにより、UCASの政界を揺るがすほどの大規模汚職事件に発展していきますが、ブラックヘイブンとの関係は見えても決定的な繋がりは出てこず(ブラックヘイブンの腹心のUCAS議員が体調不良によりカリブ連合に隠居したり、報道秘書官が行方不明になったり、事務員が借金を苦に自殺したり)、ブラックヘイブンは逮捕を免れることになります。
この2年間のゴタゴタは元々シャドウランのマンスリーシナリオミッションで扱われたものとなります。
このキャンペーンはマヤの殺人鬼の模倣犯と選挙闘争が複雑に絡み合いながら展開するものでマヤの殺人鬼の決着はシナリオ『Sprawl Wild』で語られているので和訳される際に解説であるストームフロントの該当部分が全訳されると期待して簡単にすませておきます。

選挙は僅差で23号法案が成立しオークアンダーグラウンドはシアトルアンダーグラウンドとなり、市長戦はラックヘイブンの続投に落ち着きます。

2075年~
やっとシャドウラン5thに突入です。
ここからしばらくはシアトル限定の大きな事件は起きません。
と、言うのは世界的にCFDと呼ばれる奇病が大流行し世界中が大混乱に陥ります。
これはシアトルも例外ではなく様々な騒動が持ち上がります。
この事件の中心はボストンであり、事件の原因の一端を担うネオネットになります。
これに伴いシアトルの合同企業評議会(UCC)はネオネットにCFDの責任を追求し評議会の中核班(CPC)から除名をします。
これはゼーダークルップの強い圧力(UCCにすら加盟していない)と、ネオネットの北米を長年運営してきた女傑サマンサ・ヴェイラーの死が原因と言われています。
また、レンラクシャットダウンでシアトルから撤退していたレンラクもシアトルに帰還しシアトルアンダーグラウンドのSIN発行請け負いなどを始めます。

その他の各地区も色々と変遷はありますが、その変遷の特に大きなタコマとアンダーグラウンドについて解説をしておきます。

アンダーグラウンドはこれまでの存在しないことになっているオークコミュニティーからシアトルの正規地区になりました。
これにより30年前にアンダーグラウンドを見捨てたドワーフが土地の証書を持って踊り込み無数のオークを追い出しました。
また治安維持を担うためにナイトエラントがやってきますが犯罪の巣窟であるアンダーグラウンドですので様々な軋轢を起こしています。
今のところオークのガーディアンギャングであるスクラーチャがナイトエラントの委託を受けた形で治安維持をしており小康状態を保っています。
とは言え、住人、各ポリクラブと誰も現状に満足していない以上いつ爆発してもおかしくはありません。

タコマは元々工業地区として栄えていましたが、製造業の衰退に伴い景気が緩やかに下降していました。
ところが2072年頃に撤退して空き地になっていた地区の再開発を大々的に進め、大型ショッピングモールとベッドタウンとして息を吹き返すかに見えました。
ところが、タコマは激怒の夜に暴徒に逐われたメタヒューマンをシェラトンホテルが匿ったことを誇りにするような親メタヒューマンな土地柄です。
ヒューマニスであるブラックヘイブン市長の趣味には当然会わずせっかく投資されていた資産を引き上げられてしまいます。
この急激な景気の悪化は治安の悪化に繋がります。
更に間の悪いことにブラックヘイブン市長により主要幹部を壊滅させられたコムンゴ団は組織の全リソースをタコマに投入し、マフィアのギアネリーファミリーに徹底抗戦を仕掛けます。
韓国から呼び寄せた凄腕の暗殺者の暗躍もありタコマからギアネリーファミリーはほぼ駆逐されます。
これにより危ういバランスで保たれていたタコマの犯罪組織のパワーバランスは完全に崩壊します。
元々マフィアと双璧をなしていたヤクザの外隅組はコムンゴ団とは血で血を洗う関係。
ヤクザも対策のために日本より忍者氏族である鬼道衆を呼び寄せます。
これにより治安は更に悪化します。
この治安悪化に懸念を示したのはタコマに北米本社を置くシアワセ。
彼らは社員の安全を護るために外隅組と契約を結びます。
ただ、シアワセはコンプライアンス上ヤクザと契約を結べないために外隅組にナイトランナー警備保障という表の顔を用意します。
これによりヤクザがより厄介になったのは言うまでもありません。

ちなみに2076年にシアトルで夏季オリンピックが開催されます。
当初ヒューマニスであるブラックヘイブン市長が何かやらかすのではないかと言われておりましたが、おそらくそれどころではなく、平穏に過ぎたのではないかと思われます。
そして、2078年に再び政界が揺れることになります。

2078年
とあるランナーがある飲食店の映像記録を探すちょっとしたランを受けます。
この際に手に入れた映像にブラックヘイブンの主席秘書官と行方不明になった報道秘書官が連れ立って店から出て行く場面が映っていました。
その日は報道秘書官失踪の前日であり、主席秘書官は市役所で報道秘書官と別れた後、報道秘書官に会っていないと警察に証言しているのです。
この情報は瞬く間にシアトルを駆け抜け主席秘書官は様々な勢力に狙われます。
ブラックヘイブンにより口封じをされかけますが、シアトルの地区判事ダナ・オークスが彼の身柄をからくも抑えブラックヘイブンと無数の不正の動かぬ証拠を押さえます。
これによりついにブラックヘイブン市長は退任に追い込まれることになるのです。
これに伴うシアトル市長選挙は近年まれにみる混乱に見まわれます。
通常市長選挙前には各種勢力が根回しを行い候補者が絞られます。
ところが今回は突然選挙が実施されたのです。
各地区の市長やシアトルの代議士などの間で壮絶な選挙戦が展開されます。
この混戦を征したのは元ホライゾンのキャンペーンプロモーター(ということになっている)のコリン・ポッター女史。
彼女の勝因は(表向き)単純なものです。間違いなくSINを持っており、一番ブラックヘイブンと無関係だったからという消極的なもの。
とは言え、彼女の方針は経済の発展、治安の維持、マトリックスインフラの整備といった普通のものであり、がっつりシナリオソースになったブラックヘイブンキャンペーンの終了を告げるアナウンスと見て良さそうです。
実際のところホライゾンとの繋がりの強いポッター女史はブラックヘイブンとは違う形で暗躍するようです。

2079年
さて、ここが原稿執筆時の現在になるわけです。
最後に我らがブラックヘイブン元市長に触れて終わりたいと思います。
彼は市長辞任後司法の手が伸びる前にシアトルを離脱しUCAS内を転々としながら脱出先の用意を進めます。
この過程でシアトルの資産を全て売却し、カリブ連合に雲隠れをします。
そこは高度セキュリティーのプライベートアイランドらしく、彼の命を狙う無数の存在も手が出せずにいるようです。
彼はそこからヒューマニスポリクラブだけではなくヒューマンネイションなど他のヒューマニス組織を背後から操っているようです。

ジャックポイントのシスオペの一人、ブルがブラックヘイブンを狙ってるらしいので彼の依頼でシナリオでも出るのではないでしょうか。

以上駆け足でシアトルの変遷を追ってきました。
シアトルは北米経済の中心であり、メガコーポの動向はシアトルの動向に直結します。
ビッグ10の変動含めてどうなるのか興味深いところです。

ポッター体制後のシアトル独立騒動に関してはこちらをどうぞ。

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